クアルコム シーディーエムエー テクノロジーズの高木映児テクニカルマーケティング部長
クアルコム シーディーエムエー テクノロジーズの高木映児テクニカルマーケティング部長
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2007年3月にドラフト2.0を承認、同6月にはWi-Fiアライアンスの認証が開始となる予定
2007年3月にドラフト2.0を承認、同6月にはWi-Fiアライアンスの認証が開始となる予定
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11nの正式規格は2008年の予定だが、その前にドラフト2.0の普及が進む
11nの正式規格は2008年の予定だが、その前にドラフト2.0の普及が進む
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 東京・大手町で開催された無線機器の技術者向け会議「ワイヤレスジャパン Developer's Conference 2007」で2007年1月26日、クアルコム シーディーエムエー テクノロジーズの高木映児テクニカルマーケティング部長が登壇し、次世代無線LAN「IEEE802.11n」についての最新状況を説明した。Wi-Fiアライアンスによるドラフト2.0製品の認証作業が始まり、2007年半ばには11nドラフト製品が本格普及するという見通しを示した。

 IEEE802.11nは100Mbps以上の通信速度を実現する次世代の無線LAN方式。IEEE(電気・電子技術の標準化団体)は2006年1月に11nの暫定版(ドラフト1.0)を承認。それから1年が経過した現在、1.0を改良したドラフト2.0が固まりつつある。英国で2007年1月中旬に開催されたIEEEの会議では、ドラフト1.0に寄せられた1万2000件もの改善案を吸収。2007年3月にはドラフト2.0が承認される見通しだという。かつては2007年に正式規格が決まるとみられていたが、作業の遅れで正式規格の策定は2008年にずれ込む見通しだ。規格の策定を待たずに、ドラフト2.0の仕様に対応した製品が普及することになる。

 ドラフト1.0に沿った製品は既に市場に投入されており、国内でもNECアクセステクニカやバッファローが販売している。現状のIEEE802.11g規格ではドラフト5.0が定まった時点で、ドラフト11g対応製品が登場した。これと比べてドラフト11n製品の投入タイミングは早い。大幅な高速化が期待できる11nでは「市場が待てない状況になっている」(高木氏)という。

 無線LANの相互接続性を検証するWi-Fiアライアンスも、ドラフト2.0に対応した製品の認証を2007年6月末までに開始する。製品の相互接続性が認証されることで、ユーザーは不安を感じることなく製品を購入できるようになるという。

 米クアルコムは2006年12月に無線LANチップメーカーのエアゴー・ネットワークスを買収。現在はドラフト2.0に対応した無線LANチップの開発を進めている。符号化率の制御などの改良を加え、最大で315Mbpsの速度を実現するという。将来は携帯電話の通信技術と統合したチップの開発も視野に入れる。