NECは2007年1月26日、IP電話を使って不特定多数にかけられる“迷惑電話”を、サーバー上で遮断する技術「VoIP SEAL」を開発したと発表した(発表資料)。同社によれば、IP電話による迷惑電話を防ぐ技術は世界初だという。

 従来の電話と比べ、IP電話は低コストで通話できる。このため、IP電話を使って商品やサービスの宣伝をする迷惑電話が出現している。「今は少ないが、IP電話の普及に伴い、現在の迷惑メール並みに問題になると考えている」(NEC)。

 こういった迷惑電話は、「IP電話を使ったスパム(迷惑メール)」であるとして、「SPIT(SPAM over IP Telephony)」などと呼ばれる。SPITのなかには、個人情報の収集を目的とした詐欺まがいの電話もあるという。

 ほとんどの場合、SPITは専用プログラムによって自動的にかけられる。プログラムは次から次へとの電話をかけて、あらかじめ録音されている音声や機械音声を流す。そこでNECが開発した技術では、IP電話のサーバー(SIPサーバー)で、かけてきた相手がプログラムか人間かを判断し、プログラムの場合には遮断する。

 具体的には、サーバーで電話を一度受けて、相手に何らかの質問をする。そして、その応答から電話をかけてきた相手がプログラムか人間かを判断する。「応答の内容ではなく、応答のタイミングなどから判断する」(NEC)。プログラムと判断した場合には、その電話はSPITであるとして、かけられた番号の電話を鳴らすことなく遮断する。同社のシミュレーションでは、99%の迷惑電話を遮断できたという。

 VoIP SEALの実用化については「数年以内を目指す」(NEC)。具体的な時期は未定。スペインのバルセロナで2007年2月に開催される移動通信関連のイベント「3GSM World Congress 2007」で、VoIP SEALのデモを実施する予定である。