2006年12月に成立した改正著作権法を巡り,IP放送事業者と著作権者の間で新たな緊張関係が生まれている。著作権法は今回,「放送を同時再送信する場合に限り,IP放送の著作権法上の扱いを有線放送と同等の扱いとする」と改正された。2007年1月11日には,IPマルチキャスト方式による地上デジタル放送の再送信に関する部分が施行され,実演家やレコード制作者の権利が従来の「許諾権」から「報酬請求権」に縮小することとなった。

 しかし,情報通信審議会が1月23日に開催した「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」では,実演家やレコード制作者と,IP放送事業者の間の対立があらわになった。対立の伏線となったのは,改正著作権法を可決する際に衆議院と参議院の両院で採択された,同法に対する付帯決議である。

 その付帯決議ではIP放送に対する著作権法上の扱いを, IP放送事業者が自ら番組を調達・制作して放送する「自主放送」についても,ケーブルテレビ(CATV)などの「有線放送」と同等とするよう速やかに検討することなどが盛り込まれた(詳細は日経ニューメディア2007年1月29日号に掲載)。