東北大学とNECは2007年1月26日、IP電話の通話内容を盗聴することを困難にする技術を共同開発したと発表した(発表資料)。SRTPやIPsecのような暗号化方式ではなく、音声データを複数のデータに分割し、それらのデータをインターネット上の異なる経路で送信。分割されたデータから元の音声に復号する方式の技術である。1つの経路上を流れる分割データだけを第三者が入手したとしても、元のデータには復元できない。

 音声データの分割には「秘密分散」という技術を利用する。これは、分割されたn個のデータのうち、k個以上が集まらないと、元の情報に戻せないというもの。例えば、3個に分割したうち、2個以上が集まれば元に戻せる。連立方程式(y = ax + b)のaとbの値を求めるためには、xとyの値が2つ以上必要である。この原理を利用したものと考えれば分かりやすい。もともとは、電子鍵の保管者を一人だけに任せずに何人かに任せ、保管者が不正を行ったり、万一の際に電子鍵を使えないという事態を避けるために使われている技術だ。パソコンのデータを安全に持ち運ぶ仕組みなどにも利用されている。

 秘密分散を使うと、分割後のデータ量の合計は元のデータ量よりも多くなる。このため、データ量を圧縮する技術も同時に開発した。