米Forrester Researchによると,米Microsoftの「Office 2007」に移行する企業は,予想よりも真剣にトレーニングを実施する必要があるという。MicrosoftがOffice 2007で,主要アプリケーションであるWord,Excel,Access,PowerPointと,やや重要度の低いOutlookなどのユーザー・インターフェース(UI)を大幅に変更したためだ。OfficeのUIが大きく変わったのは,10年前の登場以来,これが初めてのことである。一方Microsoftは,「新しいOfficeのUIは以前よりも直感的で,機能を見つけやすくなった」としている。

 Office 2007のUIは「リボン」という名称の,操作と連動する視覚化機能をベースとしており,その時点で実行している作業と関連性の高い機能を表示してくれる。例えばWord 2007でテキストを編集していると,リボン内の「ホーム」タブは「フォント」「段落」「スタイル」「編集」というオプションを表示する。文書に画像を挿入したときは,画像と関連するオプションの付いた新たな「画像ツール-フォーマット」タブが現れる。

 Forresterは「企業によるOffice 2007への移行ペースは遅く,ほとんどの企業が3~5年は切り替えない」とみる。その理由の一部は,新しいUIだ。Forresterでは,「Officeは過去10年以上もその操作性をほとんど変えなかったのに,Office 2007で急激に変えてしまい,対面およびオンラインのトレーニングをユーザーに施す必要が生ずる」と指摘する。Forresterのアナリストは,「企業ユーザーの大部分が2~3時間の正規トレーニングを必要とし,新UIによる操作に慣れるまでの2~4週間は作業効率が落ちる」とみている。

 Officeを実際に利用しているユーザーは世界中に5億人以上いるため,UIを大きく変えることは,Microsoftにとって果敢な冒険だった。しかしMicrosoftは,「20年以上昔に導入したメニューとツールバーを基調とする以前のUIは,ここまで多様な機能を持つアプリケーション・スイートに適さなくなった」とする。さらに「Office 2007の新しいUIはトレーニングなどほとんど受けなくても使用可能で,迅速かつ簡単に作業を進められるようになるため,最終的にはヘルプデスクへの問い合わせも減る」と確信している。ただしMicrosoftは「Office使用経験の少ないユーザーは最大の恩恵を受けるが,今までのOfficeに慣れ親しんだユーザーはテクニックを若干覚え直す必要がある」と付け加える。

 著者はOffice 2007を試用し,リボン・ベースの新UIが直感的で使いやすく,混乱を招かないと感じた。著者は間違いなく経験豊富なOfficeユーザーだ。20冊近くの本を書き,10年の使用経験があり,毎日,しかも何時間も続けて操作することがよくある。もちろん筆者の印象は,Office 2007に対する一般的な見解と一部食い違っているだろう。これから1年間,ユーザーはOffice 2007にどのような反応を示すだろうか。