資生堂と三越、富士通は1月24日、化粧品の対面販売をICタグを使って支援する実証実験を1月26日から2月12日まで、三越銀座店と名古屋栄店の2カ所で実施すると発表した。三越はこれまで婦人靴、高級ジーンズとICタグの適用範囲は広げてきたが、今回は新たに化粧品に取り組む。

 実験では、資生堂の化粧品のテスター(試しに利用する商品)にICタグを取り付け、商品のこだわり情報を提供する。化粧水や美容液の場合、商品の近くにICタグリーダーを置き、顧客がそれにテスターをかざすと商品情報が画面に表示される。高級ブランドの「クレ・ド・ポー ポーテ」のカウンターでは、販売員の接客支援にICタグを使う。タブレットPCをカウンターに置き、ICタグを取り付けた商品をかざすと商品情報が表示される。商品情報を表示するのに販売員がタッチパネルを操作したりするよりも、スムーズに情報を提供できるため、顧客満足度が上がることを期待している。顧客情報も入力し、それまでのカウンセリング履歴や購入履歴も表示できるようにする。

 テスターを顧客がどれだけ手に取ったかというタッチログも調べる。口紅やマスカラを対象にし、テスターを陳列している商品棚にICタグリーダーを内蔵して、何回手にとられたかを計測する。タッチログと売り上げ実績を調べ、その相関関係を調べる。商品棚に埋め込むリーダーは、セントラルエンジニアリングが開発した。

 三越は、複数メーカーの化粧品のお薦め情報を提供する実験を合わせて実施する。化粧品の口コミ情報サイト「@cosme」を運営するアイスタイルから口コミ情報の提供を受け、それを店頭で調べられるようにする。サンプル品にICタグを付け、それをキオスク端末のリーダーにかざすと、商品情報とともに口コミ情報が表示される仕組みである。キオスク端末で分かりやすく表示するインタフェース画面は三越が開発した。三越は実験のあと、このキオスク端末を2店舗でそのまま実用化する予定である。

 ICタグは、凸版印刷が貼り付ける商品の形状に合わせたものを提供した。対応する周波数は13.56MHz帯。

 今回の実験は、経済産業省が今年度取り組んでいる6業界のICタグ実証実験の一つである。