米Intelが米国時間1月23日,次世代無線LAN規格IEEE802.11n(仕様策定中)対応のノート・パソコン内蔵用カード「Intel Next-Gen Wireless-N」を発表した。同カード内蔵パソコンは,まず台湾Acer,ASUS,米Gateway,東芝などのメーカーが1月末のWindows Vista一般発売に合わせて提供を開始する。

 Next-Gen Wireless-Nは,PCIe Mini Cardタイプのネットワーク・アダプタ・カード。IEEE802.11nのほか,既存の無線LAN規格IEEE802.11a/b/gにも対応する。次期ノート・パソコン向け技術ブランド「Intel Centrino Duo」に対応するパソコンなど,Intelアーキテクチャのノート・パソコンに搭載できる。

 802.11n利用時の通信速度は最大300Mbpsで,802.11a/gの54Mbpsに比べ5倍速い通信が可能。3本の通信アンテナを組み合わせるMulti-Input,Multi-Output(MIMO)技術により,通信距離が最大2倍に広がるという。

 2.4GHz帯と5.0GHz帯の2つの周波数帯で運用できる。5.0GHz帯1チャンネルの占める帯域は40MHzで,従来の802.11b/g対応製品と干渉することなく300Mbpsの通信が行える。スリープ・モードなどの省電力機能を備え,Intelでは「ノート・パソコンのバッテリ駆動時間を既存の802.11n対応製品よりも長くできる」としている。

 同カードの大きさは,縦50.95mm,横30.00mm,厚さ3.30mm。重さは7.2g。

 なお,無線LAN規格の策定に取り組む米国電気電子学会(IEEE)は2006年1月19日に,802.11nとして初の草案を承認した。しかし規格化作業を担当するIEEEのタスクグループN(TGn)が同年4月末に同草案の承認を否決したため,現在は修正版の作成を進めている(関連記事:[IEEE802.11nのキーパーソンに聞く]---エアゴーの高木映児氏)。今のところIEEEは,規格の最終承認を2008年第1四半期に行う計画。

 802.11n規格が未確定の状態にあり,無線LAN製品の相互接続性を確認する業界団体Wi-Fi Allianceも同規格に対応する製品の認定作業を始めていないため,Intelは独自の802.11n相互接続認定プログラム「Connect with Centrino」の運営を開始した。

 Intelは同プログラムを通じ,台湾ASUS,米Belkin,バッファロー,米D-Link Systems,米Netgearなどの無線LANアクセス・ポイント・メーカーとともに,各社の製品とIntel製品の802.11nによる相互接続性を検証する。検証試験に合格した製品は,「Connect with Centrino」マークを付けて販売できる。

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