写真 会合後にブリーフィングを行った松原聡東洋大学経済学部教授
写真 会合後にブリーフィングを行った松原聡東洋大学経済学部教授
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 総務省は1月22日,「通信・放送問題タスクフォース」の第1回会合を開催した。タスクフォースは,竹中平蔵・前総務大臣が中心となって取りまとめた「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」を基にした「改革工程プログラム」の進捗状況チェックや,菅義偉(すがよしひで)総務大臣が設置した「ICT国際競争力懇談会」などに関して,大臣へ助言する有識者会議だ。

 タスクフォースのメンバーは,松原聡東洋大学経済学部教授,岸博幸・慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構助教授,中村伊知哉慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構教授,秋池玲子ボストン・コンサルティング・グループ・ヴァイス・プレジデント ディレクター,野村修也中央大学法科大学院教授――の5人。

 第1回会合の冒頭では菅総務大臣が,「通信・放送分野は日本の経済成長につながるパワーの源泉。日本の将来にとって極めて重要な産業だ。2006年に作られた『通信・放送の在り方に関する懇談会』(竹中懇談会)の報告書や,政府与党合意を踏まえて作成された通信・放送分野に関する改革工程プログラムに基づいて,我々は作業を進めてきている。専門分野の方々に集まっていただいたタスクフォースに,政策の企画や立案について率直なご意見を私にいただければと思う」と挨拶した。

 議論は原則として非公開。会合の終了後,メンバーの一人である松原教授が議論の内容を,報道陣にブリーフィングする形を取る(写真)。今回の会合では,事務局が改革工程プログラムの進捗について説明。その後,タスクフォースの議論の進め方を話し合ったという。「改革工程プログラムをスピード感を持って進めているのかどうか,複数の懇談会や研究会などの議論が整合性を持っているかをチェックすることなどを改めて確認した」(松原教授)。

 質疑応答では松原教授が,タスクフォースの位置付けを,「政策を提案した竹中懇談会とは異なり,既に作成した報告書や政府与党合意,改革プログラムをチェックする役割を果たす。付け加えはあるかもしれないが,新しい政策を一から提言する機関ではない。『いつまでに報告書を作成する』などの時限的な組織でもない」と説明した。

 初回の会合は1時間程度。今回は総務大臣への助言は特になかったという。ただ,「NHK改革については,改革工程プログラムの記述からするとスピード感に欠けるのでは,などの意見が出た」(松原教授)。

 タスクフォースは月2回程度のペースで開催される予定。次回の日程はまだ確定しておらず,議論の項目も未定となっている。