信金東京共同事務センター事業組合は1月23日、関東甲信越の21信金のATMで1月7日から9日の10時6分までの間に、10万円超の振り込みが264件発生したと発表した。1月4日以降、各金融機関はATMで10万円を超える現金振り込みはできないようにしていた。信金東京センターは、関東甲信越と沖縄の61の信用金庫の勘定系システムを管理している。

 信金東京センターの運用する勘定系システムは、「1系」と「2系」の2系統がある。このうち2系において本人確認限度額の設定にミスがあり、管理している22の信金が影響を受けた。問題が21信金にとどまったのは、該当期間に10万円を超える振り込みがなかった信金が一つあったためである。

 信金東京センターでは振り込み限度額の変更に伴う暫定的な措置として、1月4日から6日までは、業務開始前に本人確認限度額を10万円に毎日設定していた。そこでシステムが問題なく稼働することを確認した後、限度額が常時10万円になるよう1月6日の夜間に設定を変えたが、2系については変更し忘れた。

 信金東京センターのシステムを開発、運用しているのはNTTデータである。信金東京センターから設定変更依頼を受けたNTTデータは、変更の確認書を組合に送付し、信金東京センターがその内容を確認した後、変更の実施をNTTデータに指示する。この際、信金東京センターとNTTデータの担当者は、「本人確認限度額のデータを一つ設定すれば、1系と2系の両方に反映されると勘違いしていたが、実際には1系のみ反映されていた」(信金東京センター)という。今回の事態を受けて信金共同センターは、1月中により詳細な登録作業手順書を作成するとともに、運用手順の仕組みを見直す予定である。

 金融庁はマネーロンダリング防止への取り組みの一環として、1月4日からATMによる10万円超の現金振り込みを禁止し、窓口で本人確認した上で振り込むように本人確認法施行令を改正した。