ITサービス企業を舞台にした不正取引がまたも露呈した。GIS(地理情報システム)分野のコンサルティングやシステム構築などを手掛けるアイ・エックス・アイ(IXI)は1月21日、大阪地方裁判所に民事再生手続きの開始を申し立て、受理された。これに先立つ19日には社内調査により取締役や部長クラスによる不正取引があったことを公表。2007年3月上半期決算の報告書を提出できない状況が続いている。

 IXIは、これまでの中間調査結果として、営業部門の取締役と部長などが社内決済を受けていない発注をしていたと発表。さらに、これらの不正に関与した者が「社内で『循環取引』が行われていた」「複数の取締役が関与していた」と証言していることも明らかにした。循環取引とは、顧客が実在しないのに何社もの中間業者を介在させて、顧客に製品・サービスを売ったかのように装う架空取引の一種である。21日の時点での負債総額119億円のほかに、不正発注による簿外債務は100億円以上に上る見通しという。

 IXIはここ数年、平均で年率100%を超える売上高成長を続けており、2006年3月期の売上高は403億3500万円。これだけの急成長を遂げながら社員数は100人強にとどまっており、業界関係者からは「どのように顧客を開拓しているのか」という疑問の声もあった。同社は、事例を含めて顧客の情報をほとんど明らかにしない。昨年6月の時点で、本誌が同社の関係者に取材したところ、「社長が持つコネクションとトップセールスを強みに、顧客を開拓している」との話だった。

 IXIは、不正取引に関わった開発・営業所管の常務取締役と取締役を事実上の解任、営業開発本部副本部長を懲戒免職にしている。経営者の関与については「社長の人脈に頼った顧客開拓は上場前後までの話で、その後は比率は極めて下がっている。社長の関与は一切ないと信じている」(管理本部)としている。少なくとも、親会社であるインターネット総合研究所は「不正取引は当社が子会社化する(2005年8月)以前からあったと報告されている。責任の所在を徹底調査・解明し、同社に損害賠償などの法的措置を取る」としている。IXIが長期に渡る不正取引で成長を演出してきた可能性もあり、全容解明が待たれる。