情報処理推進機構(IPA)は1月22日、ソフトウエア開発プロジェクトに関する情報を自動で取得し、分析するための「ソフトウエア開発プロジェクト可視化ツール(EPM=Empirical Project Monitorツール)」を無償で提供することを明らかにした。3月に試行バージョン(ドラフト版)を公開し、2008年1月に正式版を提供する計画だ。

 今回提供するEPMツールは、(1)作成あるいは削除したプログラム・コードの行数、(2)メールをやり取りした回数、(3)バグの件数などを自動で収集し、その結果をリアルタイムで図示するもの。開発者ごとに「ソース・コード規模の推移」を表示したり、「累積した未解決障害件数と平均障害滞留時間との関連」といったデータ同士の関連を参照することで、プロジェクトの状況を分析できる。プロジェクト・マネジャ(PM)が、プロジェクトでトラブルが発生していないかどうかを早期に把握するのに役立つとしている。

 EPMツールはもともと、文部科学省が主導するエンピリカル(実証的な)ソフトウエア・エンジニアリングに関する研究開発プロジェクトである「EASEプロジェクト」を通じて開発されたもの。すでにオープンソース・ソフトとして公開されている。ただし「研究用途で開発されており、一般のユーザーには使い勝手が悪く、インストールするのも難しい」(IPA SEC=ソフトウェア・エンジニアリング・センターの鶴保征城所長)。

 そこでIPAが提供するEPMツールでは、インストールを容易にするとともに、一般のPMでも利用できるような使い勝手の実現を目指す。同時に、「大学などが進めているデータ分析の研究成果も、盛り込んでいく」(鶴保所長)という。

 このほか、プロジェクトを通じて得られた定量データを基にしたプロジェクト診断ツールを、今年12月をめどに一般公開することも明らかにした。定量データとは、プログラム規模(ファクションポイント値など)や工数、業種、言語、バグの数などを指す。同ツールはこれらのデータを基に、プロジェクトの生産性や工期、品質が適正かどうかを診断できる。

 IPAはすでに1700件のプロジェクト・データを収集しており、同ツールを使って分析していた。このツールを外部から利用できるようにする。まず6月に試行版を公開する予定だ。