セールスフォース・ドットコムは1月18日、SaaS（ソフトウエア・アズ・ア・サービス）として提供しているCRM（顧客関係管理）アプリケーションの最新版「Salesforce Winter'07」を発表した。新版ではアプリケーション開発環境を提供するなど、企業情報システムのプラットフォーム色を強めた。

　目玉となるのは、同社独自の開発言語「Apex（エイペックス）コード」を提供すること。Javaに似たこの開発言語を使うことで、ユーザーはSalesforceのデータベースや実行環境上で、自由にアプリケーションを開発・実行できる。例えば、りん議書の承認などに用いるワークフロー機能や、あるタイミングで集計処理などを自動実行するような機能を作り込める。

　これまでも、管理するデータ項目を追加・変更したり、他のWebアプリケーションと連携させることはできた。だが、開発言語を使ってSalesforce自体の機能を拡張したり、修正することはできなかった。

　Apexコードを用いたアプリケーション開発を促すため、同社は開発ソフト「Apexツールキット for Eclipse」や、Google Mapsなど他のWebサービスと連携するための「AJAXツールキット」を提供する。年内をめどに、開発者向けにApexコードの研修を実施したり、オフィス・スペースを提供したりする「インキュベーション・センター」を国内に設立する計画だ。

　Salesforce Winter'07では、開発環境が提供されたほか、承認・ワークフロー機能やデータ入力チェック機能といったSOX法対応向けの機能や、IP電話やLotus Notesなどとの連携機能などを強化した。宇陀栄次社長は「Winter'07の機能強化は、過去最大規模。Salesforceは、CRMだけでなく、企業の様々な業務で活用できるプラットフォームになった」と強調する。

　Salesforceの使用料は前版と変わらず、1ユーザー当たり月額7875円から。同社によれば、現在、全世界で2万7100社、55万6000ユーザーが利用している。