Apolloアプリケーションの概要。複数形式のコンテンツを統合してアプリケーション化できる
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Apollo製アプリケーションのインストール画面。左上はアプリケーションのアイコン
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金融サービスの操作画面。Flashリアルタイムにデータが変わるコンテンツとなっている
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Webカムで撮影した商品を出品する太田氏
Webカムで撮影した商品を出品する太田氏
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 アドビシステムズは2007年1月17日,ウェスティンホテル東京地下2階スタールームにおいて,2006年度業績および2007年度事業戦略説明会を開いた。ギャレット・イルグ代表取締役社長によると,2006年第4四半期(9-11月)には過去最高の1億9700万米ドルの純利益を達成したという。

 主要事業プラットフォーム別売上比率は,Photoshopなどのクリエイティブ市場向け事業が55%を占めた。地域別売上比率はアメリカが49%と最大でヨーロッパ,中東,アフリカ地域が30%,日本を含むアジア地域は21%だった。

 ニューズウィーク誌が発表した2006年度の「グローバル最強企業ランキング」ではマイクロソフト,オラクル,SAP,任天堂に続き5位の位置にあったことを例に挙げ,世界規模なソフトウエア市場での認知度の高さを強調した。また2006年度は売上げの27.9%を研究開発費に投じたことを説明し,マクロメディアとの合併で得た技術の統合に力を入れたことを語った。

 続く2007年の事業戦略の説明では,主力製品のリリース予定を発表。PhotoshopやIllustratorなどを含むAdobe Creative Suite 3は2007年の中旬に,Adobe Production Studioの次期バージョンは本年の下半期と説明した。また,新たに製品戦略に加わる予定のコードネーム「Apollo」の正式リリースは2007年上半期の予定だという。

 後半には太田禎一 プロダクト&セールスエンジニアリング部プロダクトスペシャリストがApolloのデモンストレーションを行った。ApolloはMac,Windows,LinuxのクロスOS上で稼働するデスクトップアプリケーション実行環境であると説明した。これによりHTML(Ajax),Flash,PDFといった複合的なコンテンツで構成したアプリケーションが実行できるという。開発環境にはFlex Builder,Flash,Dreamweaverといった同社製品が利用可能だが,前述のコンテンツが制作可能であれば他社の製品でも開発可能だという。

 太田氏はウェブアプリケーションが「脱ブラウザ」を実現する利点を,再読み込みの「F5」や前のページに戻る操作の「Backspace」など,ブラウザに依存するアプリケーションであれば制約がかかるキーボード操作が独立したアプリケーションなら利用可能であること,また,写真の一括アップロードなどデスクトップとの連携が必要なアプリケーションの操作性を高められる,などと説明した。

 デモンストレーションでは金融サービス業界のローン申し込み画面を紹介。インストールから,アイコンをダブルクリックしてアプリケーションを起動し,Flash製のユーザー・インタフェースを操作してローンを計算する流れを見せた。操作後自動作成したPDF形式の申し込み用紙を表示し,メディアの使い分け方を提案した。

 また大手ネットオークションサイトであるeBayが無償公開する,ウォッチリストのAPIを利用したオークション用アプリケーションも紹介した。壇上でWebカムにより撮影した商品を,Flash Media Server経由でオークションに出品するまでの操作を公開し,ネット連動型アプリケーションの可能性を印象づけた。

【修正履歴】「Apollo」の綴りが間違えていましたので,修正しました。(2007年1月18日)