米CBS Newsの報道によれば,米MicrosoftはWindowsの品質低下の要因がパソコン・メーカーの同こんする大量の追加アプリケーションにあると信じているそうだ。Microsoftは,新OSの「Windows Vista」で,以前よりも優れた操作性をパソコン・ユーザーに届けたいと考えている。ただし問題が1つある。独占禁止法(独禁法)違反にともなう監視下に長年置かれているMicrosoftには,アプリケーション同こんという習慣をやめさせる法的手段がないのだ。

 CBS Newsの報道は,1月第2週(米国時間)の2007 International Consumer Electronics Show(CES)でMicrosoftの関係者と交わされた秘密の会話に基づく。アプリケーション同こんの件は,Microsoftが何年も前からひそかに取り組んできたテーマである。匿名のMicrosoft関係者はCBS Newsに対し,「違法行為になってしまうため,われわれには手だてが1つもない」と話したという。

 Microsoftはこうした同こんアプリケーションを,「crap」(がらくたの)と「applet」(アプレット)という言葉を組み合わせた造語「craplet」(クラップレット,がらくたアプリケーション)で呼んでいる(確かに,そのほとんどは役に立たないアプリケーションだ)。Windows搭載パソコンは実に様々なアプリケーションが付属することで評判が悪く,Microsoftが努力しているにもかかわらず,パソコン・メーカーはまず間違いなくWindows Vistaでもこの習慣を捨てないだろう。こうした習慣が維持されるのには,金銭的な理由がある。アプリケーション・メーカーは,自社製品を可能な限り多くの見込み顧客に見てもらおうと懸命だ。そのためパソコン・メーカーは,アプリケーションを同こんすると「パソコン1台当たりいくら」という収入が得られる。同こんアプリケーションのほとんどは機能制限版なので,正式版の販売につながる可能性がある。

 Microsoftとしては,消費者のメリットになるようWindows Vistaをシンプルな構成にして,パートナ企業にも同様の対応をとってもらいたいと願っている。例えば,パソコンの起動時間を短縮する目的でWindows Vistaから起動ロゴを削除したし,初期状態のデスクトップには事実上全くアイコンを置かなかった。