マイクロソフトは1月17日、WebサイトやWebアプリケーションのデザイン・開発ツール群「Expression Studio」を発表した。3次元画像やアニメーションを多用したWebアプリケーションを、容易に開発できるようになる。

 マイクロソフトの市橋暢哉デベロッパービジネス本部 業務執行役員 本部長は、Expression Studioのコンセプトを、「Web標準に準拠すること、そしてBeyond the Browser(ブラウザを超える)だ」と説明する。「アプリケーションの互換性を保つため、XHTML(拡張HTML)やCSS(カスケーディング・スタイルシート)といったWeb標準に準拠することが重要であるのは言うまでもない。加えて、Webブラウザが持つ様々な“制約”にとらわれることなく、Webブラウザを利用せずにWebコンテンツを利用する、そんな新たなスタイルのアプリケーションのデザインや開発を促進する」(同)。

 Beyond the Browserを実現するためのツールが、Expression Studioの「主力製品」(市橋本部長)である「Expression Blend」だ。Windows Vistaが標準搭載するグラフィックス・エンジン「Windows Presentation Foundation(WPF)」を利用して、HTMLで作成されたWebページや、Ajaxで作られたWebコンテンツ、動画や3次元CG、ベクター・グラフィックスなどを利用するアプリケーションなど、「従来のWebアプリケーションにない、高い表現力を持ったユーザー・インタフェース(UI)をデザインできる」(市橋本部長)。

 Blendを使うと、Webブラウザ上だけでなく、デスクトップ上で直接動作するアプリケーションを開発することもできる。代表例はWindows Vistaが標準で備える簡易アプリケーション「ガジェット」だ。Web上の天気情報サイトから取得した気象情報を3次元画像の地球儀にマッピングして、マウス操作で参照する、といったアプリケーションを実現できる。実行環境としてWebブラウザではなく.NET Framework 3.0を使うため、「ユーザー・インタフェース(UI)や、マウスを右クリックしたときのメニュー内容などを、自由に設計できるようになる」(市橋本部長)。

 マイクロソフトは同日付で、Blendのベータ版のダウンロード提供を開始した。製品版の発売は第3四半期(7~9月)の予定。価格は未定だが、米国版の価格は499ドル。

 このほかExpression Studioに含まれるツールは、以下の3種類。「Expression Web」は、Webアプリケーションのデザイン・ツール。XHTMLやCSSといったWebの標準仕様を使ったWebアプリケーションのUIをデザインできる。発売は2月16日で、参考価格は3万7800円。アドビシステムズの「Macromedia Dreamweaver」など、競合他社の製品から乗り換える場合には、1万1800円の割引価格で購入できる。ボタンやメニューなどを配置してGUI画面を開発するツール「Expression Design」と、コンテンツ管理ツールの「Expression Media」は、それぞれ第3四半期に発売予定だ。