デベロッパービジネス本部 業務執行役員 本部長 市橋暢哉氏
デベロッパービジネス本部 業務執行役員 本部長 市橋暢哉氏
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Expression WebがCSSファイルのエラーを検知したところ
Expression WebがCSSファイルのエラーを検知したところ
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タグ入力時にはIntellisenseが働く
タグ入力時にはIntellisenseが働く
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 2007年1月17日,マイクロソフトはWebページ制作ソフトの新製品「Microsoft Expression Web」を2月16日から出荷開始すると発表した。価格は通常版が3万7800円(参考価格:以下同様)。Office FrontPageやVisual Studioのライセンスを持っているユーザー向けにアップグレード版を1万1800円で用意する。学生向けのアカデミック版も用意する。価格は9800円。さらに,競合他社の製品(Dreamweaver,Contribute,GoLive,ホームページ・ビルダー)を所有しているユーザー向けに「特別優待アップグレード版」を限定で1万本用意する。価格は1万1800円。

 競合他社の製品と同様に,Webページ上にGUI部品をドラッグ&ドロップすることで,Webページをデザインするツール。標準で,XHTMLとCSSに分離したコードを出力するので,Webページの構造と内容を分離でき,メンテナンスしやすくなる。

 特徴は主に3点。一つ目は,HTML 4.01やXHTML 1.1,CSS 2.1などのWeb標準に準拠したソースコードを出力するという点。Webアクセシビリティに関しても,W3Cが提唱している2種類の基準に準拠し,障害者でも読みやすいページを作れる。

 二つ目はコード・エディタが備える入力補助機能。これはVisual Studioが持つ機能を応用したものだ。例えばHTMLやCSSの入力を監視し,エラーを見つけたら即時に警告する機能。そして補完機能であるIntellisense。ソースコードを入力し始めると,ドロップダウン・リストが現れ,その部分に入りうる入力候補を列挙する。また,JavaScriptを入力すると,JavaScriptの文法で使われるキーワードを色分け表示する。JavaScriptでも,クラスや関数の名前を入力するときにIntellisenseが働く。デザインの見た目をチェックしているときには,特定のデザイン要素をクリックするとCSSファイルの該当部分をすぐに表示する。

 三つ目はVisual Studio,ASP.NETとの連携。ASP.NETで使用するGUI部品を自由にレイアウトでき,ASP.NETアプリケーションの見た目をデザインできる。完成したページを基に,ロジックをVisual Studioで記述するという分業ができる。

 製品版の発売に先立ち,本日から評価版をWebページで配布する。インストールから60日間使用可能。

 発表会ではさらに,Expressionシリーズの今後の出荷予定も発表された。WPF(Windows Presentation Foundation)アプリケーションのユーザー・インタフェースをデザインするツールである「Expression Blend」の日本語ベータ版を本日から公開する。さらに,ベクター・グラフィクスを作成するツールである「Expression Design」の日本語ベータ版を2月下旬,写真やビデオ・ファイルを管理するツールである「Expression Media」の日本語ベータ版を3月上旬に公開する。2007年第三四半期には,Expressionシリーズの4製品を統合した「Expression Studio」,単体のExpression Blend,Expression Mediaをそれぞれ出荷する。Expression Designの単体出荷の予定はない。

 マイクロソフトはこのようにデザイン・ツールを続々と投入して,「3年後にはデザイン・ツール市場でトップに立つ」(デベロッパービジネス本部 業務執行役員 本部長 市橋暢哉氏)と高い目標を掲げている。同氏は,Windows VistaはXPの倍のペースで普及し,2009年には日本国内のパソコンの80%でWindows Vistaが動くようになるという予測を披露し,OSの普及に伴ってWPFアプリケーションの需要も高まり,デザイン・ツール市場も大きくなると語った。