マイクロソフトは1月17日に，Webクリエイター向けデザイン・ツールのスイート製品「Microsoft Expression Studio」を2007年第3四半期に出荷すると発表した。併せて同日，スイート製品を構成するツールの一つであるWeb/Windowsアプリケーション・ユーザー・インタフェース構築ツール「Expression Blend」日本語ベータ版を，同社Webサイトで提供開始した。2月16日には，Webサイト構築ツール「Expression Web」製品版をスイート製品の提供に先立って発売する。同社デベロッパービジネス本部の市橋暢哉本部長は，「Windws Vistaの機能を100％活用するアプリケーションを開発できるこれらの製品の投入で，2009年にはデザイン・ツールのシェアの40％を獲得する」としている。
スイート製品は，Webサイト構築ツールの「Expression Web」，Web/Windowsアプリケーション・ユーザー・インタフェース構築ツールの「Expression Blend」，グラフィック・ツールの「Expression Design」，コンテンツ管理ツールの「Expression Media」で構成する。Expression Designを除いて，単体製品でも販売する。Expression WebとExpression Blendの出荷は，スイート製品と同じ2007年第3四半期。
Expression Web（図1）は，「Web標準」に準拠したWebサイトの構築を支援するツール。Web標準に沿っているかどうかをコーディング中にリアルタイムでチェックして警告する機能や，コーディング中に後に続く可能性がある命令の候補をメニュー形式でリストアップする機能を備える。同社による参考価格は3万7800円。同社のFrontPageおよびVisual Studioのユーザーのほか，アドビシステムズのDreamweaverや日本IBMのホームページビルダーなど競合製品のユーザーには1万1800円（参考価格）で提供する。
Expression Blendは（図2），Windows Vistaが搭載するプレゼンテーション用フレームワーク「Windows Presentation Foundation（WPF）」上で動作するアプリケーションのユーザー・インタフェースを開発するためのツール。タイムラインベースのアニメーション開発や，コンポーネント・ベースの開発ができる。画像の3D表示など「WPFのグラフィックス機能をフルに活用したアプリケーションを開発できる」（デベロッパー製品部の鈴木祐巳エグゼクティブ プロダクト マーケティング マネージャ）。
簡単なアプリケーションならBlend単体でも開発できるが，Blendで開発したプロジェクト・ファイルを同社の開発ツール「Visual Studio」に読み込んでビジネス・ロジックを実装する，といった使い方もできる。「デザイナとデベロッパの間のラウンドトリップを実現する」（同）。
Expression Designは，ベクター・グラフィック・データを作成するためのツールで，いわゆる“お絵描きツール”。Expression Blendで利用するグラフィック部品などを開発するのに使う。日本語ベータ版を2月下旬に提供する予定。
Expression Mediaは，コンテンツ管理ツール。米Microsoftが2006年6月に買収した米iViewの「MediaPro」をベースにしている。メディア編成・生成機能の「Media Encoder」を使うことによって，画像のリサイズやトリミングなども可能。日本語ベータ版を3月上下旬に提供する予定。
