音声を使った物流向けの作業支援システムを開発・販売する米ヴォコレクトが1月16日、日本法人を設立したと発表した。米ウォルマートや仏カルフールなど22カ国に500社ある顧客実績を武器に、日本企業の獲得を狙う。

 日本市場で販売する「Vocollect Voice」は、ピッキングや検品、出庫作業といった物流作業を、音声を使って指示・確認するためのシステム。物流業務のテンプレートに沿って作業手順を指示したり作業結果を確認したりする管理サーバーと、作業担当者が装着する音声認識装置付きのヘッドセット端末からなる。

 管理サーバーは、事前登録された作業の流れに沿って、作業者に、例えばピッキング作業の場合なら棚番号や個数を音声で指示する。個数などのデータは、既存の受注システムや在庫管理システムを検索し取得する。作業者は、棚に割り当てた識別番号やピッキング数量などを発話。これを音声認識し、指示した棚や個数と合っているかどうかを識別。正しければ在庫引当処理を実行し、次の指示を出す。誤っていれば、作業のやり直しを指示する。

 ヴォコレクト日本法人のシソン・セザール社長は、「音声で指示・確認するほうが、伝票をチェックするよりも作業スピードは6割近く上がる。ランプが光ってピッキング棚を示す電子棚のように、棚のレイアウトや作業者の動線が制限されることもない」と話す。

 米ヴォコレクトは1987年に創業。日本市場参入が今になった理由を、「日本の物流業務に合ったテンプレートを作ったり、音声認識を日本語に対応させるための時間がかかったため」(セザール社長)としている。すでに日本の大手総合スーパーが導入を始めているという。

 Vocollect Voiceの導入費用は、作業担当者が50人の場合で約7000万円。当面は大手SIベンダー1社を通じて販売し、年内にはさらにITベンダー2社とも販売契約を結ぶ予定。初年度5億円の売り上げを見込んでいる。

1月22日付記:ヴォコレクト日本法人から「日本ユニシスとは契約を結ぶ方向で交渉中だが、(ニュースを掲載した)1月16日時点ではまだ契約していない」との申し入れがあり、最終段落に「当面は日本ユニシスを通じて販売し」とあったのを、「当面は大手SIベンダー1社を通じて販売し」にしました。日本ユニシスとの契約は、2月中旬になる見込みとのことです。(日経コンピュータ編集)