「本日お会いした皆さんに『業界に元気がないので何とかしてくれ』と言われまして」。日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)が2007年1月15日に開催したセミナーでこう切り出したのは、マイクロソフト 執行役専務の眞柄泰利氏だ。

 この日は、午前中にマイクロソフトの新OS「Vista」が発表されたばかりで、JCSSAのセミナーは都内の別会場ながらその後に行われた。両イベントの掛け持ちも多い。眞柄氏は冒頭のような出席者の声に応える形で、Vistaの機能についてはあまり触れずにパソコン販売店におけるビジネスチャンスの例に絞って講演した。

 同氏がまず紹介したのは、潜在的なマーケットの数である。午前中のマイクロソフトの発表会では具体的な販売目標は一切語らなかったが、眞柄氏の説明によるとWindows XPよりも前の世代のOSを搭載した企業向けパソコンは、およそ1100万台あるという。同社は企業向けパソコンの総数を3400万台とみており、全パソコンに占める「Windows XP前のパソコン」の割合は31%となる。この1100万台が、比較的Vistaに置き換えやすい市場となろう。

 続いて眞柄氏が紹介したのは、中堅・中小企業向けのソフトウエア・ライセンス売上の見通しである。それによると、2007年度の同市場のライセンス売上は前年よりも18%増え、金額にして520億円に達するという。このうち、サーバー向けは26%と比較的高い伸びを示しそうだとしている。

 このほか同氏は、自らの家庭でのパソコンの活用方法を披露しながら、HDTV対応ビデオ・カメラや無線LAN対応デジタル・カメラ、薄型テレビ、家庭内ネットワーク対応ゲーム機といった周辺機器などもVistaの登場で販売しやすくなると、デモを交えて紹介した。これらの機器の総額は、定価の2割のディスカウントを見込んで約100万円。「36回の分割払いなら、月々約3万円で手に入る」とし、自らも購入を検討していると語ると同時に参加者にも「Vistaによる情報武装」を呼びかけた。