NHK受信料の支払い義務化を目指して,総務省とNHKの動きがあわただしくなってきた。総務省の担当者は受信料の支払いを義務付けるために,2007年春に放送法改正案を通常国会に提出する準備に追われている。ただ,視聴者の納得が得られないまま支払いを義務化しては,受信料制度への反発を強めてしまう恐れがある。そこで法案の提出前に,義務化への抵抗感を少しでも和らげようと,総務省とNHKが相次いで対策を打ち出している。

 具体的に総務省は,受信料の引き下げをNHKに求める方針をこのほど打ち出した。2割程度引き下げるように要請するとみられる。受信料が安くなれば,義務化に対する視聴者の抵抗感が弱まるとの思惑がある。

 一方NHKが取り組んでいるのが,不祥事を再発させないための体制作りである。経営体質にメスを入れないまま支払いが義務化されてしまうと,視聴者からの猛反発は免れない。受信料の支払いを義務付ける以上,不祥事の再発防止に向けたNHK改革は失敗が許されない(詳細は日経ニューメディア2007年1月15日号に掲載)。