佐川急便はこのほど,貨物の輸配送管理や貨物の追跡管理などをする基幹系システム「貨物システム」を刷新した。新貨物システムの特徴は,IA64サーバーを中心とする100台のサーバーで構成されており,1日当たり約1億件のデータを格納したり,1日当たり300万件ほどのデータを参照したりできる。同社の社内にある1万台以上のPCと,顧客のPCから,貨物に関するデータの格納,参照といった処理をリアルタイムで実行できる。

 新システムは,Webサーバー,アプリケーション・サーバー,DBサーバー,統合運用管理システムなどで構成する。

 アプリケーション・サーバーには,開発に携わったフューチャーアーキテクトが独自開発したJavaベースのミドルウエア「RtFA(Real time Framework Architecture)」が搭載されている。RtFAはメッセージ連携機能を備えており,その機能を使って,大量データを複数サーバーで並列処理できるようにした。複数サーバーのうち1台に障害が発生しても,残っているサーバーでメッセージ連携できるようにしているので,無停止で運用できる。

 また,DBサーバーには,日本オラクルのOracle 10gと,クラスタリング・ソフトウエア「RAC(Oracle Real Application Clusters) 10g」を導入した。DBサーバーは8台で負荷分散と並列処理をさせているため,無停止で運用できる。データベース処理のなかで性能要求が厳しいものについては,データを論理的に分割するOracle 10gのパーティショニング機能を採用して,データ更新の競合を防ぐ工夫を凝らした。

 開発プロジェクトには,佐川急便が属するSGホールディングスグループの情報システム会社,佐川コンピューター・システムと,フューチャーアーキテクトが参加した。プロジェクトは2005年8月からスタート。14カ月のプロジェクト期間を経て,新貨物システムは2006年10月に稼働した。