「大半の顧客に喜んでもらえる料金に設定した。当分は当社の主力商品になるだろう」。ソフトバンクモバイルの孫正義代表執行役社長は,1月16日から提供する開始する月額基本料金980円の新料金メニュー「ホワイトプラン」について,自信たっぷりに語った。

 ソフトバンクモバイルは,ホワイトプランでは料金のシンプルさを徹底した。それを象徴するように,ホワイトプランについて説明するプレゼンテーション資料は,基本使用料とソフトバンクモバイルの加入者同士とそれ以外の通話料金について書かれた紙が1枚だけ。注意書きを極力排除したのは「余計なコメ印が,かえって顧客の不信感を呼ぶ」(孫社長)との考えからだ。

 ソフトバンクモバイルが,2006年10月に「ゴールドプラン」(予想外割引)を開始した際に,「通話料0円,メール0円」とうたいながら,利用するには複数の付加サービスの契約が必須であるなど,結果として消費者に料金について不明瞭な印象を与えたことが背景にある。同年12月には公正取引委員会がソフトバンクモバイルの広告に対して行政指導する事態に発展した。今回のホワイトプランは前回の教訓を基に設定。孫社長は「前回(ゴールドプラン発表時)も顧客に喜んでもらいたいという気持ちだったが,準備不足で十分に伝わり切らなかった。今回のホワイトプランは,正真正銘の直球勝負だ」と語る。

 ホワイトプランでは,国内の通話料金はソフトバンクの加入者同士だと1時から21時まで無料,21時から1時までは30秒当たり21円となる。また,ソフトバンクモバイルの携帯電話以外と通話する場合も一律で30秒当たり21円に設定している。今後,「30秒当たり21円」を値下げする可能性についても孫社長は言及。「オプションとして,追加料金を払えば安くなるというサービスの提供があるかもしれない」と述べた。

 また,ソフトバンクモバイルの既存の契約者に対してホワイトプランへの料金プラン変更の受け付けを,新規契約者に先行して1月11日から開始。既存契約者を囲い込もうとする姿勢を打ち出している。

 ホワイトプランに対する競合他社の反応は,現時点では冷静だ。NTTドコモ広報部は「他の企業が新しい発表をしたという程度の認識。すぐに対抗策を打ち出すことはない。今後は(ホワイトプランの)内容を拝見して,顧客にとってどれだけのインパクトがあるのかなどを分析していく」とコメントした。一方,KDDI広報部は「(ホワイトプランは)携帯電話を頻繁に使わないユーザーなどをターゲットにしていると見られ,それほど脅威に感じていない。ソフトバンクモバイルから他社の携帯電話に通話する場合と,当社の最も安い料金プランで通話した場合には当社の方が得をするケースもある」(広報部)とコメントしており,両社とも当面は静観する構えだ。

 一方,ソフトバンクモバイルは他社が対抗して基本通話料金を下げた場合には,「24時間以内に対抗料金のプランを発表する」(孫社長)とし,あくまでも低価格を貫く。ゴールドプランでは開始後約2カ月で約100万の契約者を獲得。同社はホワイトプランで毎月数十万の新規加入を見込むという。