ホワイトプランの概要。細かい注釈をほとんどなくし、シンプルな料金体系とした
ホワイトプランの概要。細かい注釈をほとんどなくし、シンプルな料金体系とした
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ソフトバンクモバイルの孫氏。「ほとんどかけない人も長時間話す人も含め、携帯電話ユーザーのほとんどにとってメリットのある料金プランになるだろう」
ソフトバンクモバイルの孫氏。「ほとんどかけない人も長時間話す人も含め、携帯電話ユーザーのほとんどにとってメリットのある料金プランになるだろう」
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 ソフトバンクモバイルは2007年1月5日、携帯電話サービスの新料金プラン「ホワイトプラン」を発表した。従来の料金プランに付けていた付帯条件をほぼすべて外し、簡素な料金体系としたほか、月額基本料金を980円に抑えたのが特徴。1月16日に適用を開始する。同社携帯電話サービスの既存ユーザーに対しては、1月11日から事前申込を受け付ける(PDF形式の発表資料)。

「前回の反省を踏まえ、注釈のない料金体系とした」

 ホワイトプランの内容は、(1)月額基本料金は980円、(2)国内宛ての通話料は30秒当たり21円、(3)パケット通信料は第3世代端末が1パケット当たり0.21円、第2世代端末が1パケット当たり0.315円または1KB当たり2.1円---というもの。これに加え、ソフトバンクモバイルの携帯電話宛てに午前1時~午後9時にかけた音声通話は無料とする。メールについても、ソフトバンクモバイルの携帯電話宛てのメールは、第3世代端末の場合すべて無料とする。第2世代端末では、最大128バイトの「スカイメール」で、送信先にソフトバンクモバイルの携帯電話番号を指定した場合のみ無料とする。

 ホワイトプランでは、従来の料金プランで一般的であった、月額基本料金に含まれる無料通話・通信分を付けていない。また、年間契約を約束することを条件とした割引や、家族内で複数回線契約した場合の割引もなくし、代わりに月額基本料金を大幅に引き下げた。「通話料とパケット通信料は、2006年10月に発表した『ゴールドプラン』と同等水準とした。月額基本料金が安いからといって、通話料やパケット通信料が高いということはない」(ソフトバンクモバイル 代表執行役社長兼CEOの孫正義氏)。パケット料金の割引サービス「パケットし放題」などの割引サービスを併用することも可能としている。

 報道関係者向け説明会において孫氏は、ホワイトプランを新設する背景について「携帯電話ユーザーが強く関心を持つのが料金体系で、特に月額基本料と通話料を気にするユーザーが多い。各社が提供している料金プランに対しては、複雑で分かりにくいとの批判の声がある。当社が2006年10月に発表した『ゴールドプラン』も、米印を付けて欄外に小さく記した注釈が多いとの意見を受けており、かえって当社に対する不信を招く原因となっていた。このため今回のホワイトプランでは、一切付帯条件を付けず、シンプルな料金体系にした。端末の分割払いやオプションサービスなど、従来必須としていた追加契約をすべて外した」と説明した。

「長時間話す人と、ほとんど話さない人の両方にメリット」

 月額基本料金を980円に抑えたことについては、「社内でもほとんどの社員が反対したが、私が一番強烈に主張して決めた。単に他社と比較して安ければ良いという程度の料金体系では、ソフトバンクが携帯電話事業に参入した意義をユーザーに訴えられないと判断した」と説明。「従来の携帯電話の料金体系においては、2種類の理不尽さがあったと考えている。めったに通話しない人も毎月4000円近く支払う必要があること、そして長時間話したい学生などの若者が2万円~3万円といった高額の通話料を支払わなければならないことだ。この2種類の理不尽さを解決できる料金プランを打ち出すことこそが、日本の携帯電話業界を変えてみせるというソフトバンクモバイルの志を示すことになる」と、ホワイトプランの意義を強調した。

 月額基本料金を引き下げる施策は、1契約当たりの月間平均収入(ARPU)を低下させる要因となり、携帯電話事業の採算性を低下させる可能性もある。これについては、「ARPUが今後どう変動するかはやってみないと分からないが、ホワイトプランで巨額の利益を上げることはできないだろう。これまで以上に頻繁に携帯電話を利用してもらうことと、ユーザー数を増やしていくことで事業を進めていきたい」(孫氏)として、ユーザー数の増加などにより採算性低下を補っていく考えを示した。

 同社の料金プランをめぐっては、2006年10月に「ゴールドプラン」「ブループラン」「オレンジプラン」の提供を開始し、NTTドコモやKDDI(au)に料金施策で対抗する姿勢を明確に打ち出していた。ゴールドプランの月額基本料金は9600円だが、2007年1月15日までにゴールドプランに契約すると2880円とするキャンペーンを実施している。同社がこのキャンペーンを延長するとの観測もあったが、これに対し競合他社などから「キャンペーンを延長すれば、景品表示法で禁じられている二重価格表示に違反することになる」と批判の声が上がっていた。

 こうした背景を受け、1月16日以降はゴールドプランの月額基本料金を9600円に戻した上で、同プランの申し込みを引き続き提供する。ただ実際には、ゴールドプランのキャンペーン終了と同時にホワイトプランの提供を始めるため、ホワイトプランは実質的にゴールドプランの後継となる見込みだ。ブループラン、オレンジプランも引き続き提供するが、「1月16日以降に申し込むユーザーのほとんどは、ホワイトプランを選択することになるのではないか」(孫氏)とする。

SIMロック解除の実現は困難

 会見において孫氏は、同社ブランドで販売する携帯電話のSIMロック解除について、「当面は、SIMロックが掛かったままの状態になる」(孫氏)との見通しを示した。同社は2006年10月から、携帯電話の端末料金の分割払い方式を導入。これに伴い、分割払いを完済した端末について、SIMロックの解除を検討する意向を示していた。今回の発言は、SIMロック解除の早期の実現が困難であることをうかがわせるものとなった。