12月26日に台湾南部で発生した地震の被害に関して、大手ITベンダーの事業にはほとんど影響ないことが、日経コンピュータの調べで分かった。

 NECは「地震による被害や大きな影響について特に報告を受けていない」(コーポレートコミュニケーション部)、富士通は「被害の報告はない。台湾に営業拠点はあるが、製造拠点はない。台湾の拠点と通信がつながりにくい状況ではあるが、年末で取引量が少ないため影響が小かったのでは」(広報IR室)としている。日立製作所も「日立グループ全体で台湾の社員や、生産ラインなど設備に影響がないことを確認している」(情報・通信グループ広報部)と特に目立った被害はない。

 台湾に現地法人を持つ外資系のITベンダーにおいても、おおむね被害がないようだ。IBMは「台湾の顧客システムに損傷や障害などはなかった。また、現地法人の社員の無事を確認した」(日本IBM広報)、ヒューレット・パッカード(HP)も「台湾の現地法人で大きな影響があったという報告は入っていない。日本HPの業務にも影響は出ていない。日本HPは、ワールドワイドの社内ネットワークを、障害地点を避けるためバックアップ回線に切り替えた」(日本HP広報部)。

 もっとも、富士通のように通信事業者から回線を調達し、顧客に通信サービスを提供しているITベンダーのサービスは影響を受けている。

 台湾南西部の海底では、アジア各国と台湾を結ぶ海底ケーブルが切断された。このため台湾と各国との間やアジア間での通信容量が縮小している。この影響で、各通信事業者の国際電話や企業向け通信、携帯電話の国際通話サービスなどに支障が出ている。KDDIによると「日本のと台湾の間のケーブルは無事だったが、台湾からアジア各国をつなぐケーブルが被害を受けた」(広報部)という。各通信事業者は代替ルートを用意することで、随時回線やサービスを復旧させている。

【12月29日7時訂正】記事中,ヒューレット・パッカードの社名に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。