NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は12月27日,同26日に発生した台湾の南西沖海底を震源とする地震の影響でアジア地域向けの一部通信サービスに障害が起きていると発表した。「台湾南西沖を通る8本の海底ケーブルに障害が起きている」(同社)という。

 26日午後9時ころから,同社が提供する以下の通信サービスに障害が発生している。企業向けデータ通信サービスは専用線が165,フレーム・リレーが12,VPN(仮想閉域網)が14,ATM(非同期転送モード)が7の計198回線(契約)が不通。インターネット接続サービスは,日本と香港間のIPバックボーン回線の全断により,一部遅延または通信できない状態が発生している。

 国際電話は迂回により通話はできているが,輻輳(ふくそう)で一部つながりにくくなっているという。ただし国際フリーダイヤルと国際プリペイドの両サービスは,課金システムがケーブル障害の影響を受けたため8カ国・地域(インドネシア,オーストラリア,シンガポール,スリランカ,タイ,台湾,ベトナム,香港)で利用できなくなっている。なおNTTコムはこれらの障害の回復見込みは未定としている。

 KDDIも,海底ケーブル損傷のため東南アジアとの国際電話がつながりにくくなっているとしている。またau携帯電話の「グローバルエキスパート」(SIMカードを使うローミング・サービス)は全地域(170カ国・地域)で音声通話が利用できなくなっており,「グローバルパスポート」(ローミング対応携帯電話機を使うサービス)は,台湾で音声通話がつながりにくくなっている。

 一方ソフトバンク・グループは,ソフトバンクテレコムが27日午前0時ころより,主要海底ケーブルの切断により,国際専用線と国際フレーム・リレーの42契約回線に支障が起きていると発表した。日本発アジア向け国際電話はネットワークの迂回措置を取っているが,一部つながりにくくなっている。またアジアから日本に着信するダイヤルジャパン/ホームダイヤル/国際フリーコール/プリペイドカードの各国際電話サービスがつながりにくい状況。インターネット接続サービスも,アジア向けのメールとWeb閲覧が難しいという。

 ソフトバンクモバイルは,26日午後9時30分ころから,オーストラリア/ニュージーランド/中国/香港/インド/インドネシア/マレーシア/フィリピン/シンガポール/タイ/オマーン/ブルネイ/オランダ/ルクセンブルクでの国際ローミング・サービス(音声,SMS,メール,Web,パケット通信)と,上記地域および韓国の携帯事業者との国際SMSサービスが使えなくなっているという。ソフトバンク国際電話(ソフトバンクの携帯電話からかける国際電話)は利用可能としている。