CESAの会長を務める、スクウェア・エニックスの和田洋一社長
CESAの会長を務める、スクウェア・エニックスの和田洋一社長
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 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は2006年12月25日、オンラインゲームサービスを提供するうえでの遵守事項をまとめた「オンラインゲーム運営ガイドライン」を制定したと発表した。初心者のためにゲームの説明や注意喚起をする「プレイガイド」を整備することや、ゲームを利用するうえで何を不正行為と見なすかを事前に定義することなどが定められている。2007年1月1日から施行する。ただし、現在問題化している、ゲーム内のアイテムなどを現金で売買するRMT(Real Money Trade)と呼ばれる行為については言及していない。

 CESAでは2006年11月に、「オンラインゲーム委員会」を創設した。「CESAには、古くから家庭用ゲーム機を対象にゲームを提供する企業、オンラインゲームを提供する企業、さらに海外の企業など、さまざまな土壌を持つ企業が参加している。今までこうした企業が対話できる場がなかった。この委員会によって、対等に話し合えるようになった」(スクウェア・エニックスの社長である、CESAの和田洋一会長)。

 その活動の第一弾が、今回のガイドライン。主要なオンラインゲームメーカー各社から現在の対応を聞き、その最大公約数を取る形で今回のガイドラインを制定したという。サポート内容や料金体系、個人情報保護方針の明示など、内容は基本的なものとなっている(発表資料)。

 詐欺行為やマネーロンダリングの温床となりやすいことなどが指摘され、このところ問題視されることの多いRMTについては、敢えて言及していない。委員会では「RMTに関する議論はあった。ただ、協会としては定義しないことにした」(和田会長)という。その理由は、RMTそのものは違法行為ではないこと、RMTの扱いがゲームごとに異なることなどにある。オンラインゲームには、RMTを禁止しているものもあれば、RMTを前提に作られているものもあるからだ。このため、どのような行為を不正と見なすかは各業者に任せたうえで、不正行為を事前に定義しておくべきことのみをガイドラインに盛り込んだ。ただ、悪質なRMTが横行することで「オンラインゲームそのものの敷居が高くなることは不本意だ」(和田会長)といい、法に触れる行為に対しては従来通り捜査協力を行う一方で、委員会などを通じて今後議論を続けていくつもりであると述べた。