米ガートナーのITインフラストラクチャ/運用リサーチ バイスプレジデントのラケッシュ・クマール氏
米ガートナーのITインフラストラクチャ/運用リサーチ バイスプレジデントのラケッシュ・クマール氏
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 「電力や冷却などに費やすITコストが増加したため、この1年で消費電力を抑える取り組みは活発になった。賢いCIO(最高情報責任者)ならこの問題に真摯に取り組むはずだ」。米ガートナーのITインフラストラクチャ/運用リサーチ バイスプレジデントのラケッシュ・クマール氏(写真)はこのように話す。

 クマール氏は、「IBM、ヒューレット・パッカード(HP)やサン・マイクロシステムズはこぞって省電力のサーバーを出荷した。米国政府でも消費電力の規制に関する法案が審議されている」と最近の傾向を説明する。ここ4~5年以内に、「大げさに言えば環境を気にしないCIOは、CSR(企業の社会的責任)の観点からクビになるかもしれない」(同)と話す。

 特に電力で問題になるのが、データセンターだ。データセンターの建物の設計自体は15~20年前のもの。ガートナーの調査では、「既存のデータセンターの半数が、現在の最新機器を導入するには古くなっている」(同)という。そのため、古くなったデータセンターで、ブレード・サーバーなど新しい機器の採用ができなければ建て直しになってしまう。既に、サーバーなどの機器そのものが消費する電力より、機器を冷却するために、空調に使用する電力コストが、それを上回るといった調査結果もあるという。

 ベンダー側の取り組みもAMDやインテルのチップ・ベンダーは消費電力の少ないチップを投入している。「ベンダーだけでなく、ユーザー企業のCIOも積極的に環境問題に取り組まなくてはいけない日がくるだろう」(同)と話す。