電気通信事業者協会(TCA)は12月22日,携帯電話に使われるICカード「SIMカード」(subscriber identity module card)について注意を喚起するWebサイトを公開した(TCAのSIMカードに関するWebページ)。TCAは,SIMカードの紛失・盗難が高額請求などの被害に結び付く可能性がある点を周知することが狙いとしている。

 背景には,海外旅行で携帯電話を盗難され,そのSIMカードを不正利用されたトラブルが2006年1月に生じたことがある。SIMカード内には,IMSI(international mobile subscriber identity)と呼ばれる固有の識別番号や,携帯電話番号などが登録されている。SIMを差し替えることで,一つの契約で複数の端末を利用したり,一つの端末で複数の電話番号を利用したりできる。

 つまり携帯電話網は,SIMカードによって個人を識別している。これを紛失したり盗難されて第三者に利用されると,通話料の請求はSIMカードのもともとの持ち主に来てしまう。

 今回の注意喚起のきっかけになったトラブルでは,被害者は渡航先の携帯電話網では利用できない端末を盗まれた。被害者は,端末が未対応では不正利用できないと思い込んでおり,携帯電話事業者に連絡したのは帰国した10日後だった。しかし,端末を盗んだ犯人は盗難した端末からSIMカードを抜き出し,その国のネットワークに対応した端末に差し替えて利用した。その結果,被害者は高額な通話料を請求されることになった。

 TCAではこうした被害を防ぐため,「PINコード」の設定を推奨している。PINコードとは,SIMカードを抜き差ししたり端末の電源を入れるたびに,ユーザーに暗証番号の入力を求めるもの。これを設定しておけば,SIMカードを盗まれても不正利用のリスクは軽減される。