総務省は12月22日,「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」で取りまとめられた「通信・放送の新展開に対応した電波法制の在り方 ワイヤレス・イノベーションの加速に向けて(案)」を公表した(リリースはこちら)。通信・放送とタイトルに含まれているものの,特に電波法制の規制緩和に主眼が置かれている。この案に対して,2007年1月15日17時まで意見募集を行う。意見募集後,1月中に報告書として公表する構え。

 今回の案では大きく(1)試験目的の無線局の拡大,(2)無線局間調整の斡旋(あっせん)・仲介制度の導入,(3)新システム導入手続きの迅速化,(4)無線局の運用者の一時的な変更制度の創設――の4点で規制緩和策が盛られている。

 (1)の試験目的の無線局の拡大は,技術試験や需要調査のために無線局を開設できる制度を創設するというもの。現状,無線局は,実用化を前提とした場合または科学・技術発達のための実験専用でしか免許が与えない。今回これを緩和し,最終目的が実用でない場合でも,試験無線局という名目で免許を与えるようにする。

 (2)の無線局間調整の斡旋・仲介制度とは,事業者間での電波干渉が問題になった際に,第三者が間に入ることで問題を調停するというもの。例えば,既にサービスを提供しているA社の近傍の周波数帯域で,B社がサービスを通信サービスを開始する場合,干渉を解決する方法を第三者を交えて話し合う場を設け,解決策を探ることができるようになる。

 (3)の新システム導入手続きの迅速化は,既存の省令にある不要な規定を削除したり,形式的なものや軽微な変更に関しては簡素化した手続きで省令の制定や改正ができるようにする。

 (4)の無線局運用者の一時的な変更制度とは,干渉の排除が比較的容易な無線局で,一時的に免許人以外が運用できるようにするもの。例えば,非常時やイベント時に地方自治体などの免許人が協力者などに無線機を貸し出すことを想定している。