米ワイズテクノロジーのターカン・マナー ワールドワイド フィールドオペレーション担当プレジデント(右)、日本法人の河合成剛社長(左)
米ワイズテクノロジーのターカン・マナー ワールドワイド フィールドオペレーション担当プレジデント(右)、日本法人の河合成剛社長(左)
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 米ワイズテクノロジーは、世界最大手のシンクライアント専業ベンダーである。日本法人を、2005年8月に設立している。米ワイズでワールドワイド フィールドオペレーション担当プレジデントを務めるターカン・マナー氏と、日本法人の河合成剛社長に、同社の製品と日本での取り組みについて聞いた。

--日本でのシンクライアント端末の販売状況は

 現在ワイズは、全世界のシンクライアント端末市場で、4割程度のシェアを確保している。当社の売り上げの60%が南北アメリカ市場で、ヨーロッパ、中近東などが30%。アジア・パシフィックはまだ10%しかない。中でも日本の売り上げは、アジア・パシフィックの10%なので、全世界から見れば1%しかない。

 しかし、今後4、5年間は日本市場が急成長するとみている。SOX法などのコンプライアンス対応が求められるし、セキュリティ対策も今後ますます重要性が増す。今はわずか1%のシェアだが、今後2、3年で10%程度に伸ばせるとみている。

 日本は当社にとって重要な位置にある。一緒にビジネスを進めたいと考えているOEMパートナー企業が、潜在的に多いと考えているからだ。現在、日本ではNECとミントウェーブにシンクライアント端末をOEM供給している。日本では他にもシンクライアント端末を販売しているメーカーがある。今後はそういったメーカーにOEM供給する可能性もあるだろう。

 日本法人は2005年8月に設立したばかりで、日本法人が同年に出荷した台数は、国内全体の出荷台数5万台の10%程度だった。06年は33%くらいのシェアを取れると考えている。07年は50%を超えるだろう。

--他社のシンクライアント端末と比較したときのアドバンテージはどこにあるのか

 当社は複数のハードのソリューションを持っている。一つは、他ベンダーがやっているように、フラッシュ・メモリーを搭載し、OSが稼働するハードだ。OSには、Windows XP EmbeddedやWindows CE、Linux、それに当社の独自OSを選べる。ここでは、Citrix Presentation ServerやWindowsターミナル サービスなどを使ったシェアード・サービスを使う。

 二つ目が、フラッシュすら取り除いた“中身が何もない”シンクライアント端末だ。当社のストリーミング技術を使って、OSやアプリケーションをサーバーからダウンロードして利用できる。Windows Vista、Windows XP、Mac OS、LinuxなどのOSをアプリケーションと共にダウンロードできる。いわゆる「ネットブート型」のシンクライアントだ。各端末には、個人を特定する情報を持たないので、社員が自分のID、パスワードを入力すれば、どの端末からアクセスしても、自分のデスクトップ環境を再現できる。三つ目が、仮想化ソフト「VMware」を使って、サーバー上で仮想的なパソコンを複数作る方法だ。

 海外では、現在、最初の方式でシェアード・サービスを使うケースが8割程度を占め、ネットブート型や仮想パソコン方式はそれぞれ1割程度となっている。しかし、3~5年後には、シェアード・サービス型は2割程度になり、ネットブート型や仮想パソコン方式がそれぞれ4割程度を占めるようになるとみている。シェアード・サービス型は、コールセンター業務など定型の仕事をこなすタスク・ワーカーには向いているが、それ以外のオフィス・ワーカーには適していない。

 また、一般にシンクライアントは、ハードウエアだけだと見られがちだが、当社は今後ソフトウエアを強化する方針だ。ハードだけでなく、ストリーミング・ソフトウエアやシステム管理ソフトと組み合わせたソリューションを提供できることが当社の強みだ。

 現在は、売り上げの95%がハードで、ソフトは5%という構成になっている。これを3~5年後には、50対50くらいにしたい。当社が単なるシンクライアントのハード・ベンダーではなく、ソフトも含めたトータルなソリューションを提供できることを、正しく日本のSIベンダーに伝えないといけない。