経済産業省は2006年12月21日、「『今年のロボット』大賞2006」を発表した。これはロボット技術の向上と市場の創出をねらい、2006年から創設したもの。大賞は六本木ヒルズなどに導入実績がある「ロボットによるビルの清掃システム」(富士重工業、住友商事)。中小企業特別賞は実勢価格約9万円の2足歩行ロボット「KHR-2HV」(近藤科学)。審査員特別賞は「食事支援ロボット『マイスプーン』」(セコム)となった。
「ロボットによるビルの清掃システム」はエレベーターを操作して階を移動、清掃作業をしたあとは自動的に元の位置に戻る。六本木ヒルズや晴海トリトンスクエアなどの高層ビルで導入されている。夜間清掃など人の負担が大きな作業をサポートできること、今年から本格導入されたことが受賞のポイントという。
「KHR-2HV」は17個のモーターを搭載して2足歩行ができる人型のホビーロボット。実勢価格約9万円と安価で、青少年から高齢者まで幅広いユーザーを獲得しただけでなく、学校教育や企業研修で教材としての活用されたことも評価を受けた。
「食事支援ロボット『マイスプーン』」は高齢者や障害者の食事の支援をするロボット。ジョイスティックによる操作で食べ物を口元まで運ぶ。豆腐など、柔らかいものでもつぶさずにスプーンで運べる。作業療法士などと共同で開発され、安全性も高く、社会的な意義の高さが評価されて受賞した。
そのほかにも7台のロボットが優秀賞を受賞。例えば、動体視力の能力を高めた「検査ロボット」(デンソー)など最先端の産業用ロボットのほか、水素と酸素で発電する燃料電池を搭載する全長9.7mの探査機「うらしま」(海洋研究開発機構)、水深の自動制御だけでなくイカをおびき出すシャクリ動作も再現する「はまで式全自動イカ釣り機」(東和電機製作所)など。一見、これがロボットなのか、と驚いてしまうものもあり、ロボット産業の幅広さと可能性がうかがえる。これらのロボットは、12月23日まで東京・港区北青山のTEPIAで一般公開する。