次期売買システムの開発ベンダーを発表した、東京証券取引所の西室泰三社長
 東京証券取引所は12月19日午前に開いた取締役会で、2009年に稼働予定の次世代売買システムの開発ベンダーを富士通に決定した。新システムは富士通のハイエンド・サーバー「PRIMEQUEST」で稼働し、CPUにはインテルのItanium2、OSにはLinuxを採用する。

 西室泰三社長(写真)は記者会見の席上、富士通を選んだ理由を三つ挙げた。富士通の提案したシステムが、(1)証券市場という極めて公共性の高いインフラの根幹として、高速性と信頼性を確保できること、(2)10年先にも世界最高水準を維持できるほどの先進性があること、そして(3)東証の予算内で構築できること、である。

 東証は2008年度までの見込みで、次世代システムの開発に300億円をかける計画。富士通は東証の次期売買システム向けに新たにシステムを開発するが、それを汎用製品として事業展開し、東証の費用負担を減らす計画を提示したという。

 また、富士通は東証に対して「次世代システムの開発は、黒川博昭社長の直轄プロジェクトとして遂行する」ことを約束。新たに専門の事業部組織を設立する計画を示している。

 東証は、ベンダー選定に際して「慎重の上にも慎重な判断をした」(西室社長)と話す。今年8月にベンダー選定の公募を開始。9月の書類審査を経て、5つ程度のグループに絞ったベンダーに対して、「全部で約1500ページのRFP(提案依頼書)を提示し、各社に十分に回答してもらった」(同)。

 そのうえで、まず各社の提案書の記載内容が東証の要求事項を網羅しているかを確認。さらに次世代システム構築における優先順位に従って各項目に点数を付け、これを評価した。こうして開発ベンダーの候補を2グループに絞った。

 また、東証では、それぞれのプロジェクト責任者に対する面談も実施。提案されたシステムについて、外部の有識者にも評価してもらっているという。

 東証では現在、次世代売買システムを「2009年11月に稼働させる計画」(西室社長)である。