写真1●NGNフィールド・トライアルの開始を宣言するNTT和田社長
写真1●NGNフィールド・トライアルの開始を宣言するNTT和田社長
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写真2●NGNフィールド・トライアルに参加する企業の幹部
写真2●NGNフィールド・トライアルに参加する企業の幹部
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 NTTは12月20日、グループで展開する次世代ネットワーク(NGN)のフィールド・トライアルを始めた。第1段階として、NTT東日本とNTT西日本のショールーム「NOTE(NGN OPEN TRIAL EXHIBITION)」で公開する。NTTの和田紀夫社長は、「NGNは電話網の信頼性とインターネットの利便性と経済性を兼ね備えた次世代のサービス。国内外でNGNに対する期待が高まっている。世界でも例をみないサービスであり、成功に向けて楽観視はしていない。不退転の決意で取り組む」と語った(写真1)。

 NTTはNGNのフィールド・トライアルを始めるにあたって、企業向けサービス「NGN for Business」、家庭向けサービス「NGN for Life」、社会・公共サービス「NGN For Society」という、大きく三つのビジョンを掲げた。これらのビジョンを実現するサービスを、NTTグループや外部の企業が参加して試す。外部の企業は20日時点で12社が名を連ね、会見には各社の幹部が顔をそろえた(写真2)。

 具体的には、NEC、NECビッグローブ、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、シスコ、ソニー、日立製作所、松下電器産業の8社がNGNに接続したユーザーに向けてサービスを提供する。また、NECビッグローブ、NTTコミュニケーションズ、朝日ネット、ソネットエンタテインメント、ニフティ、ぷららネットワークスの6社が、ユーザーがNGNを経由してインターネットに接続するサービスについて実験を行う。松下電器産業の津賀一宏役員は「家電製品は今後10年、15年を見たとき単品ではなくネットワークでサービスとともに提供するようになる。NGNはまさにそのための基盤となるもの」と述べた。

 サービスとしては、NTT東西が高品質のIP電話やテレビ電話、ハイビジョン相当のIPテレビ放送などを開始。また、シスコはハイビジョン相当の画質によるテレビ会議システム、日立は遠隔医療システム、松下電器は子供の安全確認、NECはロボットを利用した遠隔監視、といったサービスに取り組む。これらの中には、NOTEと各社のショールームを結んでサービスをするものもある。

 なお、NTT東西以外の各社は、(1)サービス会社がサーバーをつなぎ込むSNI(アプリケーションサーバ・網インタフェース)、(2)ユーザーの端末をつなぎ込むUNI(ユーザ・網インタフェース)、(3)通信会社向けのNNI(網間インタフェース)、の3点でNTTのNGNに接続して実験する。

 NGNを利用した企業や家庭向けのアプリケーション・サービスについては「NTTが構築する(アプリケーション・サービス)基盤を、NTTグループや他の企業が同等に使うことになるだろう」(NTT和田社長)との考えを示した。NECは「NTTの基盤を利用して、よりきめ細やかなアプリケーション・サービスを提供したい」(広崎膨太郎執行役員専務)とする。

 NTTのフィールド・トライアルへの参加申し込みはまだ締め切っておらず、今後若干増える可能性がある。NTTは、NOTEでのサービスの展示を約1年間続ける。見学するには、NOTEのホームページで申し込む必要がある。2007年1月にはNTT関係者の自宅などへ展開し、同年4月に一般から募る1000人程度に規模を拡大する。2008年早々にも、本サービスに移行する予定。NGNと携帯電話サービスの本格的な連携については「携帯電話の速度や品質保証などの機能面を考慮すると、2008から2009年度頃となりそうだ」(NTT和田社長)とした。

 なお、12月20日午後、報道陣にNGNのショールームを公開する。