ネットワークの中立性に関する懇談会の第2回会合の様子
ネットワークの中立性に関する懇談会の第2回会合の様子
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 総務省は12月19日,「ネットワークの中立性に関する懇談会」の第2回会合を開催した(関連記事)。今回から,大手通信事業者やコンテンツ・プロバイダのトップ,幹部がオブザーバとして参加。ネットワーク中立性に対する問題提起のプレゼンテーションと自由討議を展開した。

 今回プレゼンテーションを行ったのは,インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一社長,NTTの有馬彰取締役,Jストリームの白石清社長,D4DRの藤元健太郎社長,ハイパーネットワーク社会研究所の会津泉副所長,富士通ネットワークサービス事業本部の斉藤力本部長代理の6人。大きな論点となっている,通信インフラのコスト負担の問題などについて主張を述べ,議論を交わした。自由討議では「ネットワークの品質の状態をユーザーに対して透明にするべきではないか」などと活発な議論が繰り広げられた。

 IIJの鈴木社長は,「インターネットは全体の6~7%のヘビー・ユーザーが大いに利用しており,90%以上のユーザーはそれほど利用していないのに(同じように)費用を負担している」と,インターネット自体が元々公平なものではないと指摘した。その上で,大容量の映像コンテンツ配信によるインターネット・インフラの「ただ乗り論」や通信インフラへのコスト負担問題について「誰がコストを負担するのかを性急に決めたり,インフラただ乗りだからと言って通信を止めるほうが,深刻な障害になると思う」と指摘。通信を制限することによって技術革新が阻害されることを懸念し,この観点から現状の通信インフラを見直すことの重要性を強調した。

 NTTの有馬取締役は,「ブロードバンド市場の健全な発展のためには,通信網の増強にかかるコスト回収ができるようにして,ネットワーク設備構築のインセンティブを確保することが必要」としたものの,「現時点でどのように負担していくかというルールを決めるのは難しいと思う」と話し,事業者間のコスト負担の在り方について議論の余地を残した。また,NTTが構築している次世代ネットワーク(NGN)でのコスト負担の問題について,「従来の帯域ベースに加えて,品質確保の差異に応じたコスト負担・料金設定を検討することが必要」とした。

 また,ハイパーネットワーク社会研究所の会津副所長は,ユーザーの立場から見たネットワーク中立性について問題を提起。ヘビー・ユーザーの存在をインターネットの成長や技術革新の駆動力であると評価し,インフラただ乗り論に対しては「ヘビー・ユーザーに課金する場合,逆に使わないユーザーには返金するのか」などと疑問を投げかけた。

 懇談会の第3回会合は2007年1月24日に行われ,ソフトバンクテレコムの弓削哲也専務ら6人がプレゼンテーションと自由討議を行う予定。