不正中継を許すメール・サーバーのリスト(データベース)を提供している非営利組織「ORDB.org」は12月18日,活動を停止することを明らかにした。同日をもって,ORDB.orgのDNSとメーリング・リストは利用できなくなる。

 第三者からのメールを中継するメール・サーバー(いわゆる,「オープン・リレー・サーバー」)は,スパム送信の中継(踏み台)に使われることが多かった。このため,インターネット上のオープン・リレー・サーバーを調査して,その情報を無償で提供するORDB.orgが5年半前に発足した。

 ORDB.orgが提供するのは,オープン・リレー・サーバーの“リアルタイム・ブラックリスト(RBL)”。企業や組織のメール・サーバーが別のサーバーからSMTP接続を受けた際,そのIPアドレスをORDB.orgに問い合わせれば,そのサーバーがオープン・リレー・サーバーとして登録されているかどうかがリアルタイムで回答される。オープン・リレー・サーバーの場合にはスパムを送ろうとしている可能性が高いとして,受信サーバー側ではそのSMTP接続を拒否するようにできる。

 メール・サーバーの多くが,デフォルトでオープン・リレーの設定だったこともあり,オープン・リレー・サーバーはスパムの“温床”となっていた。このため,スパム対策としてORDB.orgのRBLを利用する企業・組織は少なくなかった。

 ところが近年では,メール・サーバーのほとんどはデフォルトではオープン・リレーを許さない設定になっており,管理者の意識も高まってきた。また,ボットネットなどからスパム送られるケースが増えてきたために,ORDB.orgのRBLは,以前ほどはスパム対策として有効ではなくなってきたと考えられる。

 ORDB.orgはサービスを停止する理由として,「ボランティアで作業をしているスタッフの時間が取れなくなっている」「スパム送信者の“戦略”が変わってきているため,オープン・リレーのRBLが,スパム対策として有効な手段ではなくなっている」――ことを挙げている。

 ORDB.orgを利用しているメール・サーバーの管理者は,早急に設定変更して利用を中止するとともに,別の対策方法を導入するようORDB.orgでは勧めている。

 ORDB.orgのWebサイトも,12月31日で公開を停止する予定である。

ORDB.orgの情報