写真1 SoftGridのマネジメント管理ツールの画面 異なるバージョンのOffice製品が共存できることをデモンストレーションした。
写真1 SoftGridのマネジメント管理ツールの画面 異なるバージョンのOffice製品が共存できることをデモンストレーションした。
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 マイクロソフトは12月18日,Windowsクライアントの導入・展開・管理用ツール群をパッケージ化した「Microsoft Desktop Optimization Pack for SA」(MDOP for SA)を2007年1月から提供すると発表した。ライセンス料金を前払いする代わりに契約期間内に登場する新バージョンを無料で利用できるようにする「SA」(ソフトウエア・アシュアランス)の契約者が対象。ただしMDOP for SAの利用に当たっては有償となる。

 MDOP for SAに含まれるツールは4種類。アプリケーション仮想化ソフト「SoftGrid」,インベントリ管理ソフト「Asset Inventory Services」,トラブルの原因究明ツール「Diagnostic and Recovery Toolset」,ポリシー設定の支援ツール「Advanced Group Policy Management」である。これらのツール群でマイクロソフトが最も重要と位置付けているのが「SoftGrid」である。

 SoftGridは,仮想化した複数のアプリケーション実行環境を一つのOS上で作り出せる新しい仕組みである。例えば,Windows NT用の業務アプリケーションの実行環境と,Windows 2000用の業務アプリケーションの実行環境を,Windows XP上で仮想的に作り出すことが可能だ。こうしたことが可能なのは,実行するアプリケーションのインストール・プロセスから,実行する際のOSとのやり取りまで,SoftGridがすべて記録。これらの情報とアプリケーションの動作に必要なコンポーネントをまとめてクライアントに配信することで,仮想アプリケーション環境を作り出している。

 マイクロソフトのWindows OSマーケティング部兼ビジネスWindows製品部の中川哲部長は「既存アプリケーションの互換性の保持の難しさが,新しいOSへの移行の壁と指摘するユーザーは多い。SoftGridはこの互換性問題を取り払い,Windows Vistaの導入を支援する有力なツールとなり得る」と強調する。

 発表会では,Office 2000,Office 2002,Office XPといった異なるOffice製品を同時起動し,異なるバージョンのアプリケーション間でデータをコピーアンドペーストするというデモンストレーションが実施された(写真1)。従来は,異なるOffice製品を1台のパソコンに入れようとすると,DLLファイルやレジストリが上書きされ,同居できなかった。

 SoftGridは2007年1月時点では,Windows XP上で動作する英語版のみの出荷だが,日本語OS環境で日本語アプリケーションの動作も保証するという。英語版のWindows Vistaで動作する英語版は2007年第3四半期に,日本語版のWindows Vistaで動作する日本語版は2007年中の出荷を予定とする。