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 「これまで『Mathematica』の名前は聞いたことがあっても,数値計算や代数演算のソフトで自分には関係がないと思っている人は多いと思う。しかし,Mathematicaは,もはや計算だけのソフトではない」。Mathematicaの開発・販売元である米Wolfram ResearchのConrad Wolframディレクターは,来年に発売予定の次バージョンについて語った。

 Mathematicaは,代数方程式や微分方程式を数値的あるいは記号的に解き,結果をグラフィカルに表示できるソフト。経済学,物理学,生物学,社会科学などの分野で利用されている。

 2007年に発売を予定しているMathematicaの次バージョンでは,方程式などのパラメータの値をプログラム実行中に動的に変化させられるGUIコンポーネントを,既存の方程式などに手を入れずに簡単に加えられるようになる。パラメータの値を設定するコンポーネントとしては,スライダーバー,ローケータ,2次元マップ,プルダウンメニュー,ボタン,チェックボックスなどを用意する。

 「これまで,パラメータの値を動的に変更させるようなユーザー・インタフェースを持ったプログラムは,プログラマでないと作成できなかった。しかし,Mathematicaの次バージョンの機能を使えば,プログラマでなくても他人が使うような複雑なプログラムを作れるようになる。これまで文献を探すのに図書館の司書などに依頼する必要があったが,Googleなどのサーチエンジンの登場によって自分で探せるようになるのと同じような大きな変化だ」(Wolframディレクター)。

 Mathematicaの次バージョンではほかに,自動化(automation)についてもさらに推し進める。例えば,方程式を解くときに,グリッドのサイズを自動的に適合させる機能を強化し,解をより自然なグラフィックスで表現できるようになるという。

 「こうした機能の搭載によって,アプリケーション開発やシミュレーションのオーバーヘッドが大幅に減少する。将来はドキュメントの代わりに,こうしたアプリケーションを作って提出することも多くなるだろう。個人が使う小規模なアプリケーションから企業が使う大規模なアプリケーションまで,あらゆるスケールのアプリケーションを作るのにMathmaticaは利用可能だ」(同)。