12月14日、ジェイアール東日本企画と東日本旅客鉄道、日立製作所は共同で、カラー版「電子ペーパーディスプレイ」を山手線車両に設置する実証実験を開始した。搭載するのは、8色のカラー表示ができる13.1インチ型の電子ペーパーディスプレイで、山手線車両の先頭車両と最後尾車両にある運転台の裏側に設置。電子ペーパーには東京電力や日本たばこ産業、サッポロビールなど37社の広告(静止画)を、2分間に1回書き換える形で表示する。3社はこの実証実験を通して、電子ペーパーの広告効果や本体の信頼性などを検証し、07年度以降に本格的な製品化・運用を目指す。

 今回の電子ペーパーは、ブリヂストン製の13.1インチパネルを使用。内部には、(1)1時間に1回の書き換えで100日連続使用できるバッテリ、(2)8メガバイトのフラッシュメモリ、(3)無線LANモジュール、(4)マイクロプロセサ、(5)アンテナなどが埋め込まれている。電子ペーパーの表示解像度は512×384で、フラッシュメモリには約40枚ほどのビットマップデータを保存できる。電子ペーパーを書き換える時には電力を使用し、2分間隔で書き換える場合には、約半月でバッテリ交換が必要になる。

 今回の実証実験で検証するのは、「電子ペーパーが実際の運用に耐えられるのか」と「広告装置としてどれだけ有効なのか」の2点。前者に関しては、電車の振動や温度変化などの環境変化に対する検証や、メモリ内の広告データをどう書き換えていくのかといった点についての実験を実施する。後者は、主に乗客へのアンケートや広告主からの評価を通じて、電子ペーパーに適合したコンテンツの開発などについて検証していく。

 ハードを供給する日立によると、現在販売しているモノクロ製品の「Albirey」(13.1インチ、無線LAN、フラッシュメモリ、バッテリ、アンテナなど含む)の場合、専用サーバーやシステム構築費などを含めて10枚分で400万円台が必要だという。07年度にはA4判カラー電子ペーパーの製品化を本格稼働させる方針だ。今後はA3判をターゲットにしたより大型製品の供給や、湾曲できる素材を使うことなどを想定しており、「2010年には1000億円規模が見込まれる電子ペーパー分野で、市場を獲得したい」(日立)という。