総務省は12月13日,「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」(MVNO事業化ガイドライン)の改正案を公開した。

 今回公開したガイドラインの改正案のポイントの一つは,携帯電話事業者がMVNO(仮想移動体通信事業者:mobile virtual network operator)の申し出に応じる必要がないケースを具体的に列挙したこと。携帯電話事業者のサービスに支障を来す合理的な理由がある場合や,MVNOとの接続に応じるための回線設備の改修などが技術的・経済的に著しく困難な場合などである。それ以外では,携帯電話事業者は電気通信事業法が定める「接続原則」に従って,MVNOとネットワークを接続しなければならない。

 総務省では,MVNOの定義などを定めたMVNO事業化ガイドラインを2002年6月に公開した。だが数年が経過しても,MVNOにネットワークを貸し出しする事業者はウィルコムだけの状況が続いている。携帯電話事業者は周波数のひっ迫などを理由に,ごく一部のアプリケーションを除いてMVNOにネットワークを開放していない。

 そこで総務省では,MVNOの参入促進について2005年末から検討を進めてきた。2005年12月と2006年6月に意見募集を実施した後,2006年9月に公開した「新競争促進プログラム2010」でMVNO促進の方向性を明確にしていた。

 ガイドラインの改正案は,2007年1月18日まで意見募集を行う。その後,1月下旬にも総務省で始まる「モバイルビジネス研究会」で,さらに踏み込んだ議論を行う見通しだ。携帯電話事業者が訴える周波数のひっ迫が,MVNOの申し出を断る合理的な理由に該当するのかどうかなど,より具体的な検証を行う可能性もある。2007年は携帯電話のMVNOがようやく動き出す年になりそうだ。