写真1 Winny裁判報告会の様子 写真左から,壇俊光弁護士,金子勇氏,ソフトウェア技術者連盟の新井俊一理事長
写真1 Winny裁判報告会の様子 写真左から,壇俊光弁護士,金子勇氏,ソフトウェア技術者連盟の新井俊一理事長
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 プログラマの支援団体「ソフトウェア技術者連盟」は13日,Winnyを開発した金子勇氏に有罪判決が下ったことを受け,京都弁護士会館で報告会を開催した。Winnyを開発して公開したことが著作権法違反ほう助に当たるとして150万円の罰金刑を言い渡された判決に対し,金子氏や弁護団が真っ向から反論した。控訴する方針も明らかにした。

 金子氏は今回の判決について「非常に残念に思っている。Winnyの公開に当たって違法なファイルのやり取りはしないでほしいと注意した。(ソフトの違法コピーなど著作権の侵害を)あおるようなことは間違いなくやっていない。裁判所はまん延を助長するような行為は行っていないと認定したにもかかわらず,なぜほう助に当たるのか疑問が残る」とコメントした。さらに「ほう助というあいまいな理由で有罪の扱いになっている。つまり,ソフトを開発するだけでほう助になる可能性がある。これは,日本の開発者にとって大きな足かせになるだろう」との見解を示した。

 続いて,金子氏の顧問弁護士を務める壇俊光氏も「検察の立証は打ち破ることができたと考えている。ただし,裁判所は『Winnyの技術は有用である』『金子氏は著作権侵害をまん延させることはなかった』と事実認定したにもかかわらず,なぜか有罪になってしまった。普通は無罪だ」と反論。また「『不特定多数が悪いことをするかもしれないと認識して技術を提供したら罪になる』ことを裁判所は認めてしまった。この解釈は絶対に打ち砕かなければならない。例えば,高速道路で速度違反を犯す人はたくさんいる。だからといって,国土交通省の大臣が逮捕されるわけではない。ファイル共有に対する偏見だ。当然,今回の判決には納得していないので,今日中に控訴する」と意向を示した。

 逮捕時から金子氏を支援してきたソフトウェア技術者連盟の新井俊一理事長は「今回有罪の判決が出たことが,日本の技術に与える影響は大きい」とまずコメントし,もしYouTubeが日本で提供されていたら確実につぶされていただろう。そのYouTubeを米Googleが買収。最近は,Googleそのものも日本では著作権法違反になるかもしれないという話も出ている。検索エンジンも作れない,YouTubeも出てこない。このような状況で日本のインターネットのベンチャーはこれからどうやって発展していけるのか。日本がインターネットで発展していく上で,今回は本当に残念な判決になった」とした。