写真1 携帯電話事業者に対する措置を説明する公正取引委員会の岡田哲也・景品表示監視室長
写真1 携帯電話事業者に対する措置を説明する公正取引委員会の岡田哲也・景品表示監視室長
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写真2 警告対象となったソフトバンクモバイルの新聞広告(公正取引委員会の資料より抜粋)
写真2 警告対象となったソフトバンクモバイルの新聞広告(公正取引委員会の資料より抜粋)
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写真3 警告対象となったソフトバンクモバイルのテレビ・コマーシャル(公正取引委員会の資料より抜粋)
写真3 警告対象となったソフトバンクモバイルのテレビ・コマーシャル(公正取引委員会の資料より抜粋)
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 公正取引委員会は12月12日,ソフトバンクモバイルがモバイル番号ポータビリティ(MNP)以降実施した「通話料0円,メール代0円」などとした広告に対し,今後こうした表示をしないよう警告した。公正取引委員会の岡田哲也・景品表示監視室長は,「携帯は国民に不可欠となったが,一方で料金は複雑でそれに対する苦情も多い。より一層の表示の適正化が求められている状況にある」と説明,今回の措置に対する意義を述べた(写真1)。

 対象となったソフトバンクモバイルの広告は,10月26日に掲載した新聞広告(写真2)と10月26日から11月2日まで放映したテレビ・コマーシャル(写真3)での通話料金とメール料金表示について。警告は行政指導に該当し,排除勧告に次ぐ厳しい措置となる。この措置は,景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)第4条1項第2号の規定に基づく。

 ソフトバンクモバイルに,警告という厳しい措置を講じたことに関して,公正取引委員会の岡田室長は,(1)一般消費者の関心が高いMNPの導入に合わせて行われた広告である点,(2)通話料・通信料といった携帯電話事業の基本的な料金に関する表示だった点を挙げ,そのため「誤認性が高く,市場に与える影響が大きいことから警告となった」と説明した。

KDDI,NTTドコモ,ウィルコムにも注意

 また公正取引委員会は,KDDI,NTTドコモ,ウィルコムに対しても料金割引の表示について注意した。この注意措置も,ソフトバンクモバイルに対する警告と同様,景品表示法の規定に基づく。

 KDDIとNTTドコモの注意対象となった広告は,いずれもMNP開始前のもの。1年前のものも含まれており,現在は既に別の広告に変わっている。KDDIでは,「MY割」と「無期限くりこし」の新聞広告や電車内の広告,テレビ・コマーシャルが注意対象となり,いずれも割引の条件が明瞭に記載されていなかったことが注意の理由となった。一方のNTTドコモは「ファミ割ワイド」と「2ヶ月くりこし」の新聞広告とテレビ・コマーシャルが注意の対象となった。月額基本料の表示などが分かりにくいとされた。

 また公正取引委員会は書面では公表しなかったものの,ウィルコムに対して別途注意したことを明らかにした。ウィルコムはMNPの対象事業者でないことなどから他の3社とは別の扱いとなった。対象となった広告は2005年4月末の新聞広告と,5月前後から6月20日までのテレビ・コマーシャル。「無料通話」の条件が分かりづらい点が注意の対象となった。

 なお,公正取引委員会の岡田室長は,ソフトバンクモバイルの料金プランである「ゴールドプラン」(予想外割)が2007年1月15日までに申し込めば月額基本料が7割引の2880円となることについて,「(2007年1月)16日からは(割引前の価格に)戻ると見ている。16日以降,(割引のままの)表示を続けていれば問題になるだろう」とし,もし割引を継続した場合は景品表示法上の二重表示価格になるとの見解を示した。

 今回の措置について各事業者は,「厳粛かつ真摯に受け止め,今後とも一層分かりやすい表示を行うよう努める」(ソフトバンクモバイル),「指摘を受け止め,正確な表示をしていく」(NTTドコモ),「お客様に対して分かりやすい広告表示に努める」(KDDI),「真摯に受け止め,今後のPR展開をしていきたい」(ウィルコム)とコメントしている。