KDDIメディア本部メディアビジネス部クロスメディアグループリーダーの家中仁課長
KDDIメディア本部メディアビジネス部クロスメディアグループリーダーの家中仁課長
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 KDDIとテレビ朝日は12月8日,4月から9月にかけて実施したワンセグ共同事業検証の結果を発表した。両社は携帯電話とテレビ放送の連動サービスについて共同で検証していくことで3月に合意しており,今回初めてその結果を明らかにした。検証内容は,ワンセグの利用動向やセールス・プロモーション媒体としての活用など。

 利用動向は,月1回以上利用するユーザーが53%。携帯電話に搭載されている他の機能に比べると利用率は高い。しかも10代から50代まで年齢層に関係なく,幅広い年代から支持を得ている。視聴対象は,8月21日の高校野球の決勝戦(再試合)をはじめ,スポーツ中継などリアルタイム性の高い番組が特に多い傾向にある。このほか,災害時の利用や自宅におけるプライベート視聴など,通常のテレビと違った視聴機会を生み出しているとする。

 セールス・プロモーション媒体としての活用は,ワンセグのデータ放送にバナーを添付しただけでは,既存の空メールによる誘導と大差なかった。プレゼントやインフォマーシャル(テレビ放送による情報告知)と併用することで誘導率が高くなるという。またリンクの表示時間を30秒と90秒にした場合で,後者の方がアクセスが3~4倍伸びたことから,リンクは一定時間の表示が不可欠とする。

 このほか,デジタル・コンテンツやECサイトとの連動でも通常のテレビによる告知に比べ,総じて高い誘導効率が得られた。

 ただし,効率が良くても,ワンセグ対応端末の普及台数はauの場合で全体の5%未満とまだ少ない。視聴時間も「推定で月4時間程度。通常のテレビの30分の1に過ぎない」(KDDI メディア本部メディアビジネス部クロスメディアグループリーダーの家中仁課長,写真)。強力な媒体価値を得るには至っておらず,ユーザー数と視聴時間の底上げが必要とする。

 そこで,視聴機会を増やすための施策も試みたという。携帯電話のアラーム機能と連動させ,放送開始時にワンセグの画面を時間起動させる仕組みを利用したところ,データ放送の利用者数が2倍に増えた。携帯電話の機能や特性を生かした放送告知をすれば,利用状況を大幅に好転させることも可能とする。とはいえ,放送事業者単独ではできず,通信事業者と放送事業者が連携しながら推進する必要があるとした。