会見するBluetooth SIGの上級ディレクター,Michael Foley氏
会見するBluetooth SIGの上級ディレクター,Michael Foley氏
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Bluetooth対応の携帯電話 Nokia N73
Bluetooth対応の携帯電話 Nokia N73
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 「2006年のBluetooth市場は,対応機器の出荷台数が6億台を超えるなど飛躍的に成長した。来年はヘルスケアやゲーム市場向けのアプリケーション開発が加速するだろう」。12月8日,近距離無線規格「Bluetooth」の標準化団体であるBluetooth SIGの上級ディレクター,Michael Foley氏が来日会見し,世界市場の動向や今後の技術ロードマップなどについて語った。

 Foley氏によれば,Bluetooth対応機器の出荷台数は,2005年には前年比61%増の3億2800万台だったが,2006年は前年比190%増の6億2500万台になる見込みである。「Bluetooth SIGの会員企業は現在約6000社で,毎月100社のペースで増えている。地域別の内訳は,アジア太平洋地域が32%,欧州が34%,アメリカ地域が34%でバランスよくコミュニティが形成されつつある」(Foley氏)。

 日本ではやや印象の薄いBluetoothだが,欧米ではエリクソン,ノキア,モトローラなどの携帯電話メーカーが積極的に採用しているため,携帯電話とハンドセットという組み合わせで通話したり、音楽を聞くという使い方が普及している。日本ではソフトバンクモバイル以外はあまり積極的に採用していない。

 Bluetooth SIGでは,Bluetoothの特徴を生かしたキラー・アプリケーションの開発に力を入れ始めている。「2007年はヘルスケアやエンタテインメントなどの分野で様々なアプリケーションが実用化される」とFoley氏は強調する。

 例えばインターネットで検索したショップ情報,すなわち住所や電話番号などのテキストや地図画像などのコンテンツを,PCからBluetooth対応モバイル機器に1クリックで転送できるアプリケーション「TransSend」を開発した。また医療機器メーカーと共同で,心拍計(センサ)の計測データをBluetoothによってモバイル機器に転送し,さらに担当医師に送ることで遠隔モニタリングが可能なシステムを開発,来年の実用化を目指している。

 映像コンテンツなど大容量データの高速通信については,WiMedia AllianceのMB-OFDM方式UWBを採用するとしており,目下,仕様作成を進めている。この高速版Bluetoothの通信速度は100Mbps,通信距離は10m程度になる予定で「詳細仕様の公開は2008年初頭になる」とFoley氏は見通しを示した。