日本のオフショア活用レベルの低さに警鐘を鳴らすアクセンチュアの田中陽一エグゼクティブ・パートナー
日本のオフショア活用レベルの低さに警鐘を鳴らすアクセンチュアの田中陽一エグゼクティブ・パートナー
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 「日本のユーザー企業は、オフショア開発の発注先を単なる下流工程の下請けとしか見ていない。これではオフショアを使いこなしている米国のユーザー企業との差は開くばかりだ」--。12月7日、アクセンチュアは電子情報技術産業協会(JEITA)の委託を受けて実施したオフショア開発についての調査結果を報道機関に説明した。その席上、同社の田中陽一エグゼクティブ・パートナー(写真)は、日本企業のオフショア開発に対し警鐘を鳴らした。

 今回、調査したのはユーザー企業のオフショア活用の能力レベル。アクセンチュア独自の指標を用い、「オフショア先の選定」、「コスト見積もり」、「進捗管理」、「効果測定」など11項目について、能力を1から5までの5段階で評価した。調査対象は、日米のユーザー企業30社以上が手掛けた国内26件、米国9件の合計35件の開発プロジェクトで、日本企業は中国を、米国企業はインドをオフショアリングのベンダーとして利用している。その結果、米国企業の平均レベルが3.5だったのに対し、日本企業の平均レベルは2.8だった。

 田中エグゼクティブ・パートナーは、日本の平均レベルが低い理由を、「日本のユーザー企業のほとんどはオフショア開発を使いこなすためのテクニックを持っていない。組織として、オフショアをより効果的に活用しようという取り組みもないため」と説明する。具体的には、(1)オフショア先のベンダーを上流工程から使わず下流工程から下請的に使っている、(2)オフショア開発の進捗やリスクを指標で管理していない、(3)オフショア開発の成果を評価せずプロセスの改善に生かしていない、といった点を指摘した。

 日本のユーザー企業によるオフショア開発自体、進展していない。田中エグゼクティブ・パートナーが示したJEITAなどの統計によれば、IT投資額全体におけるオフショア開発の比率は、米国の12%に比べて日本は3%にとどまっている。