携帯電話事業者3社の月別純増数の推移(表:TCAの発表を基に日経パソコンが作成。以下同じ)
携帯電話事業者3社の月別純増数の推移(表:TCAの発表を基に日経パソコンが作成。以下同じ)
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携帯電話事業者3社の月別シェアの推移
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 2006年12月7日、電気通信事業者協会(TCA)は、2006年11月末時点の携帯電話・PHS契約数を発表した。NTTドコモは対前月末比で1万7500契約の純減となった。1992年の同社設立以来初の純減である。一方、「au」「ツーカー」ブランドで携帯電話事業を展開するKDDIは、同32万4900契約の純増を記録。ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)は同6万8700契約の純増、PHS事業者のウィルコムは同2万4700契約の純増だった(発表資料)。

 携帯電話業界では、電話番号を変えずに契約する通信事業者を変更できる「携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度」が2006年10月24日に始まった。MNP開始以降、1カ月を通しての増減が発表されるのは今回が初めてである。

 KDDIは前回発表から引き続き、堅調に契約数を伸ばしている。同社は音楽再生機能などを充実させた端末を多く投入。秋冬商戦向けモデルもほかの事業者より早く2006年8月下旬に発表、同9月から順次発売していた。9月上旬からはMNPに先駆け、いち早くMNPによる転入サービスを展開するなど販促活動を強化していた。KDDIのうちauブランドは47万9600件の純増、ツーカーブランドは15万4600件の純減であった。

 ソフトバンクモバイルは、2006年10月26日から新料金プランの受付を開始。条件付きながら同社の契約者同士の通話やメールを0円にしたほか、キャンペーンとして月額基本料金の割引を打ち出すなど、料金施策でユーザーに訴求する戦略を採った。また、薄型きょう体端末のラインアップを充実させたほか、携帯機器向け地上デジタル放送「ワンセグ」の視聴が可能な「AQUOSケータイ」が引き続き好調。同11月25日には画面サイズを大きくしたAQUOSケータイの新機種を出すなど、端末の販売も強化している。

 NTTドコモは2006年10月に「FOMA 903iシリーズ」など14機種を発表したが、11月末までに発売にこぎ着けたのは半数の7機種にとどまる。903iシリーズ全6機種ではGPS機能を標準で搭載したほか、一部機種で定額制の音楽配信サービス「Napster」に対応。他社に比べNTTドコモの端末が劣っているとされていた部分を補強する戦略を採ったが、これまでのところユーザーへの訴求が十分にできていない。