日本オラクルは12月6日、サポート・サービスを拡充すると発表した。同社製アプリケーション・パッケージのホスティング・サービスと、予防保守やチューニングなどを実施する保守サービスの二つを、新たに加えた。「現在のサポートによる売上高は、ソフトウエア製品に関する修正プログラムの提供や技術の問い合わせなどを除くと、10億円から20億円程度。新サービスの追加により、2010年までに売上高100億円を狙う」と、カスタマーサービス統括本部の倉持謙一アドバンストカスタマーサービス本部長は話す。

 前者の「Oracle On Demand@Oracle」は、顧客企業が購入した同社製アプリケーション・パッケージを対象とするホスティング・サービス。顧客は、ネットワーク経由でパッケージを利用する。米国ではすでに提供しており、同日から日本語環境でも提供を始めた。従来は、顧客企業内で稼働しているEBSやOracle Databaseなどにオラクルのサポート担当者がアクセスし、運用管理するサービスだけを提供していた。

 Oracle On Demand@Oracleの対象は、ERPパッケージ(統合業務パッケージ)の「Oracle E-Business Suite(EBS)」。今後、「PeopleSoft Enterprise」や「Siebel CRM」にも広げていく予定だ。日本オラクルが10月に開始した「Siebel CRM On Demand」(関連記事)は、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供しており、今回のサービスとは形態が異なる。

 後者の保守サービスでは、サポート・サービスを優先的に受けられる「Priority Service」と、予防保守や顧客ごとの専門チームの設置、チューニング支援などを実施する「Solution Support Center」の二つを新たに加え、同日開始した。どちらも、日本オラクルの全製品が対象になる。

 Priority Serviceを利用する顧客は、製品サポート・サービスのみを受ける場合に比べて、技術的な問い合わせに対する回答や、サポート情報の提供などを優先的に受けることができる。Solution Support Centerでは、データ量やアクセス数が増加して応答性能が劣化しそうな兆候を検知した場合に、「プロセサやメモリーを増強したほうがよい」とアドバイスする、といった具合に予防保守を提供していく。

 同社はこれまで、製品サポートを除く保守サービスとして、既存の予防保守のためのサービスを提供する「Business Critical Assistance」とスポット契約で対応する「Assisted Services」を提供していた。今回のPriority ServiceはBusiness Critical Assistance」の下位サービス、Solution Support Centerは上位サービスに当たる。日本オラクルは、保守サービスの増強に当たり、20人規模の専任組織を新たに発足させた。

 「内部統制やセキュリティなどITに関する課題は、年々増える一方。顧客のニーズに応えるために、新たな保守サービスが必要と判断した」と、倉持氏は話す。サービス料金(税抜き)は、Priority Serviceが年額625万円から、Solution Support Centerは同2790万円から。