12月6日から8日まで開催している「iEXPO 2006」でNECが,携帯電話上でパソコン向けWebページを見やすくする新技術を参考展示している。その新技術とは,「セマンティックズーム」。携帯電話のブラウザ上で,Webページ全体を縮小表示しながら,重要な部分だけをブロック単位でズーム表示できるというものだ(写真)。
最近ではフルブラウザが当たり前のように携帯電話に載り,携帯電話でパソコン向けのWebページを見ることは珍しくなくなった。しかし実際には,画面サイズの制限からブラウザ内にWebページが入りきらず,縦横にページをスクロールする必要があり,操作性は悪い。セマンティックズームを使えばスクロールの必要がなくなり,携帯電話上でパソコン向けのWebページがより見やすくなるという。
仕組みは以下の通りだ。まずセマンティックズームでは,iアプリで作成した専用ブラウザを利用する。このブラウザを使うと,ネットワーク上に設置した解析エンジン・サーバーをいったん経由し,表示したいWebページにアクセスする。端末からリクエストがあったWebページの構造を,解析エンジン・サーバーが分析。文字サイズの大小やHTMLの構造などを手がかりに,Webページをブロックごとに分けて各ブロックごとに含まれるテキストを抽出する。
この結果を基にして,端末の専用ブラウザにWebページ全体の縮小画面を送信する。この縮小画面には,解析エンジン・サーバーが解析したブロック単位にリンクが張られており,ユーザーが各ブロックにカーソルを合わせると,その部分の要素がズーム表示されるという仕組みだ。
解析エンジン・サーバーは,結果的にWebページの情報量を圧縮する役目も担う。「平均で60%ほどパケット量を減らせる」(説明員)。今回は技術展示という位置付けだが,「1年もかからずに実用化できるのでは」(同)としている。