レノボ・ジャパンの「ThinkPad X60 Tablet」
レノボ・ジャパンの「ThinkPad X60 Tablet」
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 レノボ・ジャパンは12月5日,企業ユーザー向けタブレットPCの新製品「ThinkPad X60 Tablet」を12月下旬に出荷すると発表した。きょう体はB5サイズで,インテル製のCore Duo プロセサL2500を搭載,OSはWindows Vista Capable PCで,価格は26万1450円である。

 同社の石田聡子ストラテジー&マーケティング担当執行役員は,「企業でのノートPCは,デスクトップPCの代替として使われることが多いが,本当に持ち歩いて使うニーズも確実にある。ThinkPad X60 Tabletでは気合いを入れてそこを追求した」と話す。

 ThinkPad X60 Tabletに特徴的な強化点の1つめは,屋外対応だ。偏光フィルタを採用して画面の反射光を98.4%カットするようにした。2つめは,タッチパネルを付属のペン入力装置だけでなく,指でも操作できるようにしたこと。ワコム製のセンサー技術「Penabled DualTouch」の採用で,今回初めて実現した。3つめはセキュリティ。ハードディスク全体を暗号化し,指紋センサーを搭載した。

 開発を手掛けたのは,レノボのThink Pad開発拠点である大和研究所。今回,タブレットPCならではの操作性を生かし,業務に密着した使い方をしてもらうための機能や操作性の見直しに力を注いだという。

 例えば,相手に画面を見せようとして本体や液晶パネルの向きを変えると,自動的に画面の天地の向きも変わるという小技も追加された。アプリケーションで実現しているため,反応がやや遅いのが難点だが,今後の改良が期待されるところだ。

 タブレットPCは同程度のスペックのノートPCに比べ,一般に1万~2万円程度高くなる。それでも企業が採用に踏み切る決め手となるのは,業務への密着度の高さだという。「例えば表計算の文書を上司にチェックしてもらう場合,上司は紙に手書きで朱を入れるのと同じ感覚で指示を書き込める。表そのものを変更する必要はない」(石田執行役員)。

 レノボのタブレットPC販売台数は現在,年間1万台前後と見られる。石田執行役員は「この1年間で,かなりまとまった数の導入が増えた。医療機関や大学ではタブレットPCならではのアプリケーションが既にあるし,それ以外の業種でも,エグゼクティブ向けやIT部門,設計部門など,ニーズの高い部門が必ずある」と語る。今後は,年間2万~3万台規模に販売を拡大したい考えだ。なお,12月下旬には個人が購入できるモデルも発表する予定だ。