フォン・ワイヤレスのマーティン・バルサフスキー創業者兼CEO。手に持っているのが専用無線LANルーターの「LaFonera」
フォン・ワイヤレスのマーティン・バルサフスキー創業者兼CEO。手に持っているのが専用無線LANルーターの「LaFonera」
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 無線LANサービスのフォン・ジャパンは12月4日、日本市場でのビジネスを本格的に開始すると発表した。5日に同社の無線LANサービス「FON」に対応した専用無線ルーター「LaFonera」の販売を開始する。

 同社は、2005年11月にスペインで起業した通信ベンチャー「フォン・ワイヤレス」の日本法人。家庭を無線LANアクセスポイントに変えるというコンセプトで事業展開をしている。個人ユーザーのブロードバンド回線に専用ルーターを接続して、公衆無線LANアクセスポイントに変える。これを会員同士で共有するサービスである。今年2月には米グーグルなどが出資したことから注目を集めた。

 公衆無線LAN事業を展開するとき一番の負担となるのが、インフラ整備である。フォンは利用者のブロードバンド回線をインフラとすることで、インフラ整備にかかるコストを大幅に削減した。2006年11月時点で、世界144カ国に約4万カ所のアクセスポイント、16万8000人の会員がいる。

 ブロードバンド回線を引いているユーザーは、1980円のLaFoneraを購入して、他の会員に無線LANアクセスポイントとして提供できる。このようにLaFoneraを購入して他の会員にアクセスポイントを開放したユーザーは、他の会員のアクセスポイントを無料で利用できる。このユーザーを「Linus(ライナス)」と呼ぶ。国内では当面はライナスのみで事業を展開する。

 ライナスのほかに、他の人が公開するアクセスポイントを有料で利用する「Aliens(エイリアン)」と呼ぶ会員形態もある。国内のアクセスポイントが2万程度まで広がった時点で利用できるようにする計画で、1日当たりの利用料金は350円程度(3ドル相当)にする予定。なお、海外ではアクセスポイントを有償で提供する「Bills(ビル)」という会員形態もあるが、国内では当面提供する予定はない。

 同社は、国内で2007年末までに東京を中心に7万50000台のLaFoneraの設置を目指す。その後、2008年末に15万台まで増やしたい考え。

 LaFoneraは、5日からフォン・ジャパン(http://jp.fon.com/)で購入できるほか、九十九電機でも10日から販売を開始する。