写真1 専用の無線LANルーター「LaFonera」。1980円で販売する
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写真2 日本でのFON開始に伴って来日した,FON創業者で英フォン・ワイヤレス・リミテッドのマーティン・バルサフスキーCEO
写真2 日本でのFON開始に伴って来日した,FON創業者で英フォン・ワイヤレス・リミテッドのマーティン・バルサフスキーCEO
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 フォン・ジャパンは12月4日,世界中で草の根的にエリアを広げている公衆無線LANサービス「FON」を,日本でも本格展開すると発表した。

 FONとは,サービス利用者自身が専用の無線LANルーター「LaFonera」を使って自宅の無線LANアクセス・ポイント(AP)を開放し,他のユーザーに無償または有償で公衆無線LANを提供するサービス(写真1)。スペインで通信事業に携わっていたマーティン・バルサフスキー氏が2005年11月にプロジェクトを開始した(写真2)。欧州を中心にサービスが広がっており,現時点で世界144カ国で約4万のAP,約16万人の会員がいるという。

 日本では九十九電機で12月5日から,専用の無線LANルーター「LaFonera」を販売開始することで,本格展開をスタートする。価格は1980円。12月9日までの先着1000人に限り,LaFoneraを無料で提供するキャンペーンも実施する。

 FONのサービスは,利用者が自身のAPを無償提供し他者のAPも無償利用できる「ライナス」型,自身のAPを有償提供し他者のAPも有償利用する「ビル」型,自身ではAPを立てず他者のAPを有償利用する「エイリアン」型の3タイプがある。当面日本ではエリアを広げることに専念し,「ライナス型のみで展開する」(フォン・ジャパンの藤本潤一CEO)。2007年内に日本国内のAP数を7万5000台とする目標を掲げた。なおエイリアン型サービスの提供も2007年第1四半期をメドに開始するという。エイリアン型の料金は米国で1日3ドルで,日本でも同等になる見込み。

 ただし現時点でFONの利用者は,インターネット接続事業者(プロバイダ)との間で問題が発生する可能性もある。FONの仕組みは,利用者のブロードバンド回線を第三者に利用させることで成り立つからだ。プロバイダによっては約款で,ユーザーが第三者へ回線を利用させることを禁じているケースもある。例えばニフティは「現時点で@niftyの回線を使って第三者にFONのネットワークを使わせることは,契約違反に当たると言わざるを得ない」との見方を示す。約款に反した利用者は最悪の場合,退会させられる恐れもある。

 この点に関してバルサフスキー氏は「規制があることは理解しているが,既にサービスを開始している地域では通信事業者との問題は起こっていない。むしろFONとパートナーとなることで,通信事業者にはFONの接続料金を分配するためにメリットが増す」と説明する。世界各国で通信事業者やプロバイダと提携している事実を紹介し,あくまで良好な関係を築いていることを強調した。

 日本では,スタートに当たってエキサイトとの提携を発表した。フォン・ジャパンとしては引き続き,通信事業者やプロバイダと話し合いを進め,FONに対する理解を求めていきたいとしている。